クスリはリスク、薬に頼らない健康的な生活をしよう!と呼びかけ る薬学部教授 千葉良子氏

秋田県上小阿仁村ご出身の千葉良子日本薬科大学客員教授が「薬学部教授だけが知っている薬のいらない健康な生き方」という著書を出版されました。

千葉先生が、この本でいちばん言いたかったことは、「クスリはリスク」だということ。

皆さんは、クスリって体に良いものと思っていますか?悪いものと思っていますか?

千葉先生は、危険なものだと思っているのです。でも、美容師さんにそんな話をしたら、「だって病気を治すものなのに悪いんですか?」とびっくりされたのだそうです。それを聞いて今度は先生がびっくり。

「みんな薬をいいものだと思って5,6種類も飲んでいますが、『クスリはリスク』なんです」とおっしゃるのです。

だから、①薬は病気になったときに飲み、②回復したらすぐに服用を止めるべきーーなのです。

この本は、特に全国でも健康寿命の短い秋田県の高齢者の方々に読んでいただきたいと思って書いたそうです。

クスリは病気を治し健康に貢献する一方、さまざまな副作用があります。この本では、ビタミンにも副作用があるとか、飲み続けると認知症のリスクが高まるクスリがあるなどとクスリの危険性を説明されています。

先生としては、薬剤師の常識を書いただけなのですが、このタイトルを見て、それまで先生の本を薬局で販売しましょうとおっしゃっていた製薬会社のお友達は、言葉を失ってしまったのだそうです。

なにせ薬はできるだけ使うなと言っているのですから、製薬業界にとっては都合の悪い本です。それでも、真実を書きたいという千葉先生、勇気あります!(笑)

でも、病気になってしまったらそのリスクの高いクスリを飲まなければなりません。ですからクスリとの正しい付き合い方、生活習慣、考え方が大切であると千葉先生は提案されています。

では、病気の予防には何をすればいいのでしょう。千葉先生は、真っ先に森林浴を挙げられました。

ただ緑の中を歩くだけでもさまざまな健康への効用が期待できるのです

実は、先生が育った上小阿仁村は秋田県の中でも田舎にあり、日本の原風景ともいうべき山里なのです。主要産業は林業。そのため千葉先生は、研究生活の後半には「樹木精油の臨床応用」を研究テーマにし、その成果を学会や論文で報告されています。その一つには、長時間労働者10名を対象に行った擬似的な森林浴環境(精油、環境音)での自律神経系の活動を測定した実験があります。その結果、スギ葉精油では7名、クロモジ精油では8名に「リラックス」効果が見られたそうです。クロモジとはクスノキ科の低木で、高級つま楊枝の原料です。  

先生ご自身が健康を維持するために実践しておられるいくつかの習慣も紹介しておられます。のどが痛いときの「ごま油のうがい」や片方ずつ鼻に水を吸い込んではピューと出す「鼻うがい」というのはちょっと面白いと思いました。

誰もが取りすぎはよくないと思っている「塩」については、単に量の問題ではないという意外なお話もありました。また、認知症患者に対し午前中にレモンとローズマリーを嗅いでもらい、午後にスイートオレンジとラベンダーの香りを嗅いでもらったところ症状が改善したという研究の紹介も興味深かったです。

また千葉先生がこの本の中で、多くの紙面を割いておられるのが、唾液の話です。先生が唾液の研究を始めたきっかけは、ある介護施設を訪ねたとき、寝たきりで自分の口で食事が取れなくなった老人たちの様子を見てあまりにショックを受けたことでした。

自分の口で物を食べなくなると、唾液が出にくくなり、口の中が乾燥して雑菌が繁殖し、それが肺に入って肺炎を起こすということが頻繁に起きているのだそうです。菌の繁殖によって口臭もひどく、胸が痛くなるような光景だったそうです。介護の人たちがガーゼで口の中を拭いてくれてはいるそうですが、それだけでは不十分。千葉先生は、スギの精油を入れたジェルを口腔ケアに使ってみたところ、スギの抗菌作用で口の中の衛生状態の改善に効果があったそうです。

この本の読み方について、千葉先生は、一般向けの部分と先生の研究に基づくかなり専門的なところとかあるので、目次を読んで興味のあるところから読むか、いっそあとがきでこの本を執筆された先生の思いを知って、それから読んで欲しいとおっしゃっていました。

本の話からは外れますが、千葉先生は、秋田県の産業振興に貢献したいという志を持つ首都圏の秋田にゆかりのある人が集まる秋田産業サポータークラブの「食・美・健ワーキンググループ」の座長を務めておられます。秋田ならではの食・温泉・自然・文化・伝統などをもとに、「美と健康」関連ビジネスを創出しようという活動です。

せっかくいい資源があるのに、それをうまく生かせないでいる秋田を何とかしたいと思っている方々、この活動に参加しませんか?

 

 

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文:竹内 カンナ