システム開発で秋田県をリード 東光コンピュータ・サービス株式会社

東光コンピュータ・サービスは、秋田県をリードするソフトウエア開発の会社です。まだパソコンが誕生して間もなかったころに東光商会の電算室という形で1984年に誕生しました。

現在80歳にして今もドローン(無人飛行機)やAI(人工知能)の事業化に取り組む東光グループの虻川東雄会長がコンピューター事業でも旗振り役だったそうです。

東光コンピュータ・サービスは、富士通系のソリューションディーラーとして自治体や学校などの顧客に対しサービスを提供しており、富士通との取引額は秋田県内でトップクラス

圧倒的シェアを誇る「樹海」

業界の特殊性にきめ細かく配慮した森林組合向けのソフト「樹海」は圧倒的シェア

同社には、東北で95%(!!)、全国でも30%のシェアを持つ「樹海」というパッケージ・ソフトがあります。森林所有者の協同組織である森林組合の業務に欠かせない、いかにも林業が主要産業の一つだった大館市の会社らしいソフトです。1997年の販売開始以来、ブラッシュアップを続けてきたニッチな商品で、不動の地位を築いています。

競争激しい健診システムはSEの情熱と価格で勝負

健診システム「MediEXのほか学校向けのソフトウエアなども自社で開発したパッケージソフトを持っています。これらは「樹海」と違って競争が激しい市場ですが、近年では大手医療施設への導入を果たすなど販売実績を積み上げているとのことでした。

初めてのクラウド版として2020年3月に販売を開始する学校向け「会計職人」

後れを取っていたクラウド化についても2020年3月から学校向けクラウド版「会計職人」を市場に投入します。パッケージソフトの「会計職人」は現在214校に導入されていますが、1カ月の料金を抑え、導入を促す戦略だそうです。

県北でSE目指すなら東光コンピュータ・サービス

東光コンピュータ・サービスは、鹿角、大館、小坂の在住者・出身者でシステムエンジニア(SE)やプログラマーになりたいと思う人が、まず目指す会社の一つです。

藤盛公之社長は、「SEの採用や営業の拠点として秋田市より大館市の方が有利」といいます。大館市は採用でも営業でも秋田市ほど競争が激しくないとのこと。SEとして働くにもいい環境を選択できそうです。

Aターンで都会から戻って来た人の採用も多いそうで、大学院を出て、東京の大手コンピューターサービス会社で海外事業などに携わっていましたが、地元で子供を育てたいと戻って来た人もいるとのこと。住宅手当や交通費などで手厚くサポートしています。

長谷部哲 常務取締役もAターン組です。東京の大手メーカーに入社し3年ほど働いて地元に戻ってきました。しかし、医療関係に詳しかったので、富士通に出向して健診システム開発のプロジェクトに携わったというレジェンドのようなSEです。

長谷部哲 常務取締役

どんな人材を求めているかとお聞きすると、藤盛社長は、「いつも言っているのは、ニコッと笑って挨拶しろとか、呼ばれたらすぐ返事をしろとか、掃除しろとかそういうことです。本を読めとかね」。あたりまえのことをきちんとやる、「凡事徹底」という言葉がお好きだそうです。

藤盛公之社長

人材育成に力を入れており、毎年、自分で選んだり会社が指示した研修の受講を義務付け、受講料や出張旅費等は会社が負担します。資格を取得すれば報奨金を給料に上乗せしてくれます。例えばソフトウェア開発技術者の資格を取ると毎月5000円を10年間もらえるそうです。

コンピュータサービスというのは設備投資はいりませんが、人が財産です。社員を大切にする。具体的には働きやすい環境とやりがいを提供しなければなりません。社員があまり辞めないのはそれが提供できているということだと思います。(藤盛社長)

若手SEに聞く

システムエンジニアの畠山健人さん

若手の代表として、SEの畠山健人さんにお話をお伺いしました。高校卒業後、大館市の秋田職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ)に入学してシステムの勉強を始めました。東光コンピュータ・サービスにはポリテクカレッジ1年生のときにインターンとして働いたことがきっかけとなり入社しました。県などが開催する企業説明会で他の企業の話も聞きましたが、東光コンピュータ・サービスが秋田県や地元への貢献を企業理念として掲げていることを知り、自分もこの会社の一員になろうと思ったそうです。

仕事では、「樹海」の更新のためシステムを組んだり、クライアントのニーズに合わせてサーバーをセットアップしたりする仕事をしています。自分の意見も取り入れてもらって「樹海」のシステムをより良いものにしていくのが夢です。

畠山さんは若者の都会への流出が続いてる現状を懸念し、若い人たちにもっと秋田県に目を向けてほしいと語ってくれました。(まさにWE LOVE AKITAの理念!)コンピューターゲームの腕を競うeスポーツへの挑戦を目標にしているそうです。

子育て世代の支援

藤盛社長は、「秋田には仕事がないと言われますが、これは柱がないのに屋根を建てようとするのと同じ。子育て世代の働くお母さんをしっかり支援したら子供が増える。秋田には学力ナンバーワンという宝があるのだから。それを生かすような政策を打ち出さなければならない」と考えています。

お子さんが生まれた社員へのプレゼント贈呈式

同社は2015年に「大館市働くパパママ応援企業」の第一号に認定されています。子育て中の女性は定時退社できるように配慮することなど
を徹底しています。

東光コンピュータ・サービスは、いちばん大切なのは社員とその家族だと明言しています。また、社員とともに重要なのは社会的弱者であり、そういう人たちの役に立つことが会社の存在意義だと思っているとのこと。

最後に、社長に若者へのメッセージをお聞きしたところ、県外に出て行こうとする若者に向け、「たとえ自分が夢に描いていた仕事じゃないとしても、仕事って一所懸命やれば天職になるんですよ。必ずやりがいが出てきます」と話されました。京セラの創業者、稲盛和夫氏の言葉だそうです。

地元にいれば、首都圏のように朝夕1時間も満員電車に乗る必要がなく、家族と過ごしたり趣味に使える時間は多いし、広い家に住めます。それに同社のように従業員を大切にする会社が多いですから、心豊かに暮らせます。

最後に記念写真!

取材を終えて 

藤盛社長のお話を聞いていて、大館の有力企業として顧客である地方自治体や学校とともに地元の社会的な課題に立ち向かっていこうとする心意気を感じました。

取材・文・写真:竹内カンナ・渡部みのり

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