産学連携で誕生した秋田の高品質キイチゴを全国へ!

3月10日、五城目町出身者を中心とした交流会「五城目ファンミーティング!Vol.6」が東京都千代田区の「EDITORY 神保町」で開催されました。

五城目町では「国内産ラズベリー(キイチゴ)産地の先駆けとなり、日本中の人に特産ラズベリーを食べてもらいたい」と、町を挙げて「五城目キイチゴ」の生産に取り組んでいます。今回のファンミーティングでは、この「五城目キイチゴ」の製造者と販売者を迎え、新しい農産物として軌道に乗せるまでの苦労や、オリジナル商品などについてトークセッションが行なわれました。

登壇者は五城目キイチゴ販売会代表の伊藤春美さん、キイチゴの加工品を開発・販売する五城目ラズファクトリー代表の鈴木矩彦さんです。

五城目キイチゴ販売会代表 伊藤さん(左)、五城目ラズファクトリー株式会社代表 鈴木さん

五城目町は町の中心を馬場目川が流れ、冷涼な気候なためキイチゴの栽培に最適な土地であることから、町の新たな特産品として、2008年に秋田県立大学と町内の農家が集まり「五城目町キイチゴ研究会」を設立、産学共同研究によるキイチゴ栽培が始まりました。

キイチゴにはいくつか品種がありますが五城目では「ヘリテージ」、「チルコチン」、「ハノーバー」などが定着しました。キイチゴは種を蒔いてから収穫するまで2年間かかること、また気候の変動に敏感で特に暑さに弱いそうで、一昨年は夏の猛暑で屋根をかけていたにもかかわらず大変な不作だったそうです。

そのような栽培の難しさもあり生産の安定化には時間がかかりましたが、五城目町民の思いを実現するための地道な活動は徐々に実を結び、現在では、農薬に頼らない栽培方法と、お客様のもとに丁寧に届けるための専用容器での出荷体制が整えられました。

五城目町キイチゴ研究会の会員数も40名となり国内最大級の生産者団体として毎年約2トンのキイチゴが生産されるようになりました。出荷されたキイチゴはレストラン、バー、洋菓子店など多くの場所で使われ、遠くは福岡県の太宰府天満宮にも卸しているそうです。

トークの合間には、世嬉の一酒蔵(せきのいちしゅぞう)が醸造し、五城目ラズファクトリーから昨年5月に新発売された「RAZMAN Raspberry Stout(ラズマン ラズベリースタウト)」と、五城目町が世界に誇る福禄寿酒造「一白水成」の純米吟醸と特別純米酒が振る舞われました。一白水成は全日空のファーストクラスにも採用されています。

お二人のプレゼンテーションの後は、以前教師をされていた鈴木さんの教え子さんが、キイチゴ農家への転身の経緯を質問したり、北海道苫小牧市のトマト生産者がトマト栽培とキイチゴ栽培を比較、栽培方法を提案するなど、活発な意見交換が行われました。

キイチゴ加工品として、新品種「ラブリーチルコチン」、「マジックイエロー」と「プレミアムハノーバー」を使ったジャムも試食することができました。チーズやマフィンに載せるとおいしいそうです。

キイチゴの新種で作ったジャム

トークセッションの後はそのまま懇親会へ。町役場の方々や町出身の若い方が多く、同窓会さながらの雰囲気の中、ファンミーティングは終了しました。

懇親会の最中に、伊藤晴美さんにインタビューしました。伊藤さんは秋田市出身でご主人が五城目町役場の職員をされているご縁で五城目町に住み始めたそうです。

ご主人からある日、「キイチゴ栽培は簡単らしいよ。試してみたら」と言われ、自宅の畑で栽培を始めたものの、なかなか実がならず、「簡単じゃない!」と思ったそうです。しかし、試行錯誤を繰り返しながらようやく生産が軌道に乗りつつあるとか。もっと多くの人にキイチゴを味わってもらえるよう毎年改良を重ねているそうです。努力はきっと報われると思います。

最後に五城目キイチゴを味わってみたい方へのお店情報です

バー ミスティ/Bar Misty(中央区銀座7-6-5石井紀州屋ビル3階)では都内では希少なキイチゴカクテルを味わえます。

レストラン エイタブリッシュ/Restaurant 8ablish(港区南青山5-10-17)は動物性の食材を一切使用しない本格的なヴィーガン料理店で、デザートにキイチゴが使われることがあります。

◆栃木県のナス ショウゾウ カフェ/NASU SHOZO CAFE(栃木県那須郡那須町高久乙2730−25)では、ケーキにかけるソースにキイチゴを使っています。

◆キイチゴビールは、イベントでの販売がメインで、昨年は、7月に有楽町駅前で開催される秋田県のイベント「美人キッチン 秋田マルシェ」12月に東京国際フォーラムで行われる「町イチ!村イチ!」で販売されました。イベントについては、WE LOVE AKITAのfacebookでもお知らせする予定です。

◆秋田県内では、パティスリー パルテール/Patisserie Parterre(本店:潟上市飯田川飯塚字家ノ越47-3、西武店:西武秋田店B1階)で五城目キイチゴをふんだんに使った「フレッシュ木イチゴのタルト」が楽しめます。7月から秋にかけてが旬だそうです。

(2018年3月11日)

▼文/写真:薄木伸康

秋田市出身。WE LOVE AKITA 監事。秋田産業サポータークラブ会員。税理士