秋の秋田移住お試しツアーのススメ

人口減少対策の一環で、全国の自治体が移住を熱心に呼びかけています。秋田県ももちろん頑張っています。そしてなかなか踏み切れない人を後押ししようと、移住のイメージをつかめるようなツアーの企画に各自治体がアイデアを絞っています。

いろんな助成金も出ています。宿泊、食事のほか旅費の助成をしている自治体もあります。もちろん住民の納めた大切な税金なので物見遊山で行かれても困るのですが、農業や漁業など貴重な体験をすることもできる素敵なツアーがたくさんあります。

数年前、移住が地方の活性化の手段として重視され始めたころは、自治体も、今の住まいを引き払いすべてを持って来てくれる移住者を求めていましたが、今は、もう少し幅広く、旅行者や二拠点居住者などさまざまな形があっていいという方向に変わりつつあり、旅行者などを含む「交流人口」や、その土地に関心を持って何らかの形で関わってくれる「関係人口」が増えることも歓迎するようになってきました。

そういう時代なので、今すぐに移住するためのお試しではなく、もう少し、ゆるい気持ちで移住ツアーに参加して、いろんな経験をさせてもらうことは、旅行に参加する人だけでなく自治体にとっても悪いことではないと思います。

五城目では参加者が五城目でやりたいビジネスを発表したり、五城目の景勝地を訪ねたり、地元料理を楽しみました

実は、わたしも3年前に五城目町と県が毎年主催している「ドチャベン(地域に根差した土着ベンチャー)・アクセラレーター」に参加し、東京で何度かのセミナーやワークショップを行ったあと現地ツアーに参加、とても勉強になり五城目が好きになりました。五城目の古民家を再生したり、朝市を活性化したり、小さなベンチャー企業を呼び込みに貢献している人たちと知り合うことができたこともかけがえのない財産になりました。

申し込み期限が過ぎたり、定員に達したツアーも紹介していますが、ご了承ください。たぶん、来年もやるので。

ただし、本気度が非常に高く、遊び半分でいったら白い目でみられるツアーもあります。まあ、ツアーに入れてはいけないかもしれません。たとえば秋田県が実施する「漁業就業体験会」です。漁師になることを検討している人向けで、「大型定置網漁」「刺し網漁」「一本釣り」などの漁業体験や、秋田県水産振興センター(男鹿市)など水産関連施設や漁港で行われる競りの見学、魚のさばき方や現役漁師との談話会など、9月15日~17日に2泊3日の日程で行います。本気で漁師をやってみたいが、できるかどうか不安という人にはまたとない機会になるでしょう。今年の県外の人向けは終わっていて、今回は県内の人向けだそうです。真剣に漁師になりたい人向けなので、県も旅費(上限あり)から滞在費まで無料と至れり尽くせりです。8月31日締め切り。ま、来年でも・・・

真剣に漁師になりたい人向けなので、県も至れり尽くせり

やや変わり種は、羽後町です。お試し居住をしてもらうため、雪国仕様の「移住体験住宅」を建ててしまいました。冬は一泊2500円、そのほかは一泊2000円です。羽後町に移住したい人に限定せず地方に移住したい人もどうぞ使ってください、というスタンスです。

気分はわが家?

男鹿市は、定住支援のページで「秋田県外在住で、男鹿市への移住を希望している方が、移住実現に向けた暮らし体験や下見のために訪れる際の交通費の一部を助成します」と言っています。上限は2万円。申し込み方を漫画を使って説明しています。

男鹿市は、移住お試しツアーの申し込み方法を漫画で説明

ジュンサイと森岳温泉で知られる三種町は、三種町の「おもしろい人」「おもしろい場所」「おも しろいモノ」を一人一人の 希望に合わせて巡る”トレジャーツアー”を企画しています。今年8月~来年2月までの間いつでもオーダーメードの旅を提案してくれるそうです。チラシには訪問先の例ものっており、その中から選ぶような形で旅行を組み立てられそうです。レポートを書くことを条件に旅費2万5000円を支援してくれるそうです。

三種町は、移住お試しツアーを「宝探し」と考えています

バスケットボールで数えきれないほど全国制覇を果たした能代工業で有名な能代市も、三種町と同じような移住ツアーを展開しています。「ツアーガイド付き」をうたっています。つまり遊んでばかりいるわけにはいかないですが、きっと能代が好きになるような風光明媚なところには連れて行ってくれるでしょう。交通費など最大5万円支給。

来年3月24日までいつでもOK。ガイド付きです。

秋田市も似ています。例としてあげられているツアーをみると、自慢は子育て環境、住環境、多様な就職先だということが分かります。旅費の助成1は世帯最大5万円。

秋田市のツアー例をみると、子育て環境や住環境がアピールポイントのようです

鹿角市は、「いつでもおでってくんだい!(いつでも来てください)」と銘打って、希望があればいつでも、その上農業をやりたい人なら農業の人の話を聴けるようにオーダーメードでツアーを組んでくれる。鹿角市までの交通費、上限を上回る食事代等は自己負担だそうですが、宿泊などは無料。

「無料」の文字が目立っていますが、交通費は自己負担です。

◎北秋田市も、希望者が時期や何をやりたいか、何を見たいかを選べるようにしています。PR動画も作成しています。

さらに「北あきたぐらしのススメ」という漫画まで作っている熱の入れようです。

また、特別に10月6日~8日の連休には、子育て世代向けに「秋田流教育・子育て体験ツアー」を実施します。秋田の教育を体験できる「教育留学」のご紹介や市内小学校の見学はもちろん!親子で楽しめる酪農体験や郷土料理作づくり体験、「北秋田暮らし」を楽しんでいる先輩移住者・地域の方々との交流を通して、北秋田の日常を感じていただくツアーです。参加費は大人2万円、子供1万6800円。交通費については、一世帯最大5万円の助成があるそうです。

「ターンズ」という雑誌があります。”これからの地域とのつながりかた”をテーマにした雑誌です。

この雑誌でも秋田の自治体が移住ツアーを募集しています。さすが雑誌だけあっておしゃれな感じです。「ターンズのがっこう」というページでは、この夏、「秋田科」として、「1-A組」男鹿半島クラス、「1-B組」秋田市、「1-C組」八峰町を紹介しています。7月14日に「入学説明会」が行われており、すでに男鹿半島と八峰町は「都内授業」を終えています。

ターンズ学校 秋田科がはじまりました~

「現地授業」も、もういっぱいかもしれませんが、潜り込めるかもしれません。秋田市は都内授業も9月1日で、まだ間に合います。

八峰町の都内授業の様子

また同じターンズで、北秋田市は、「北秋田に嫁ぐ?」「もしも、私が嫁いだら・・・北秋田の暮らしを妄想する女子旅」というキャッチコピーでツアー参加者を募集しています。実は合コンツアーなわけですが、地元青年と都会の女子を一緒にすれば何かが起こるかもしれないことを期待しています。9月15日~17日です。

今回挙げた情報は目についたものを集めただけで、おそらくほとんどの自治体がこうしたツアーを用意していると思います。住んでみたい場所があるならその自治体のホームページで「定住支援」を探してみてください。

文・写真の一部:竹内カンナ