秋田在住の洗剤カリスマ「茂木和哉」から地方での起業を学ぶ

年末の大掃除の時期になり、「あ~~、やんなきゃ」と思っているけど、なかなか手が付けられないという人多いと思います。わたしもその一人ですが、お風呂のシャワーのホースに生えてしまったカビが気になって、どうしようかとネットを検索していたら、久々に茂木和哉さんの名前を発見しました。それにベールに包まれた存在だった彼がYouTuberになっていてどんな人な人なのかがつぶさに分かってしまったのです!

と言っても、「いったい茂木和哉って誰?」と思っている人も多いと思います。でも地方での起業に興味ある人なら彼のことを是非とも知っておいてほしい。秋田に住んでいて、まったくのゼロから自分の名を冠した洗剤を製造販売し、高級ブランドとして成功させたのですから。

パッケージに「茂木和哉」と大きく書かれた彼の製品は東急ハンズのような品質に強いこだわりを持つ人が行く店の棚にズラリと並んでいるんです。

東急ハンズの棚に並んだ茂木和哉の水垢洗剤 有名人ならともかく作った人の名前がどかーんと書かれた商品ってほかにあります?(笑)

私が茂木和哉を最初に知ったのは7、8年前。彼の洗剤が良いよ~と聞き、さっそく東急ハンズに探しに行きました! 「おお、あったあった!」と手に取り、値段を見てびっくり。高い!普通の住宅用洗剤の5倍ぐらいもするのでこれは高すぎと思い、そのまま商品を棚に戻して以来、まだ一度も買ったことはないのですが、東急ハンズが目を付けた洗剤のカリスマが秋田にいるというのはちょっと誇らしく、ときどき東急ハンズに行っては、次々に種類を増やしている「茂木和哉」をチェックしていました。

しかし、最近まで、彼がどんな人物なのか、なぜこんなすごい洗剤を開発できたのかなどは全然知らず、どんな人なのかなあと思っていました。その彼がYouTuberになってお掃除の動画を何十本と出しているのを見つけてしまったのです!!ちょっとドキドキしました。

初めてお目にかかる茂木和哉は、紺色のジャンパーに紺色の手ぬぐいをかぶり、細いフレームの眼鏡を掛けたやさしそうなおにいちゃんでした。ブログには、もう25年も洗剤マイスターをやっているというから、そろそろおにいちゃんというのがちょっときついかなというぐらいの年齢です。秋田の人らしくめっちゃ肌がきれい!!

YouTubeは、2019年夏に始めた模様。初期の頃はまだ撮影技術も確立されていなくて、鏡のウロコ汚れを落とすYouTubeでは、冒頭、こんなふうにカメラを構えている姿が映っていたり。(笑) 楽しませていただきました。

 

地元の大仙市に住みながら、ひとりで洗剤を研究開発し、東急ハンズという、ものにこだわる人たちに絶大なブランド力のある小売店のバイヤーに見いだされ、知る人ぞ知るブランド力を確立したというのは、すごくかっこいいと思います!

彼の制作したYouTubeを見ていて、とても印象的だったのが、決して自分の商品を売ろうとしていないこと。まずは、マジックリンとかカビキラーとか、いろんなナショナルブランドの洗剤を使った掃除の仕方を紹介した後に、「まあ、こういう茂木和哉の製品もあるので、これを使ってもいいと思いますよ~~」とちょっとだけ宣伝しているんです。秋田人らしい控えめさと「別に宣伝しなくても売れるもんね~~」という自信を感じ、さらに好感度が上がりました。

カビキラーを使ってる。自分でも塩素系の洗剤を作っているのに。

次々に彼の動画を見ながら、面白い人だなあ、なぜ、こんなに洗剤のことに詳しいのだろうと思っていたところ、彼のブログを発見! それも洗剤に興味を持ったきっかけ、自分で開発を始めた経緯、どのように起業したか、起業以来これまでの紆余曲折など、私が知りたいと思っていたことをすべて書いてありました。抜粋させていただきます。

茂木和哉さんは、45年前、秋田県大仙市の稲作農家の次男として生まれました。

中学校を卒業後は、稲作農家に生まれたので自然な流れで…ではなく、学力的に選択肢がなく農業高校に進学します(笑)

野球部の厳しい練習を1日でも休みたいという理由で、高校にお知らせが来た「毒物劇物取扱責任者試験」の試験を受けました。まあ、そんな理由で受けたのですから、残念ながら不合格。しかし、この時、茂木さんは人生で初めて勉強を面白いと感じました。とはいえ、そこで人生が変わることはなく農業短大に進み、再び「毒物劇物取扱責任者試験」を受け、この時は猛勉強、長ったらしい薬品の名称も暗記、そして合格します!

就職はこの資格が生きる化学工業薬品や業務用洗浄剤の販売会社を選びました。最初は、給食センターや温泉浴場にこの会社が仕入れた業務用洗剤を持って営業に行っていました。そして営業をしながら清掃作業をするようになり、洗浄スキルが身に付きました。20歳代後半には温泉浴場の清掃に集中するようになります。温泉にはカルシウム系の水垢や木部のカビ取りなどほかの業者だったらお手上げな汚れがあります。これにチャレンジすることがおもしろくて仕方なくなったのです。

茂木和哉は浴室の汚れ落としのプロであることを示すプロモーション動画です。

そしてその頃から会社で洗剤を作り始め、すっかりハマってしまったのです。しかし、完全な独学、壁にぶち当たったときに教えを請える人もなかったので、もっと勉強したいと思い、30歳ごろ業務用洗剤のメーカーに転職しました。

今思うと「30歳」って全然若いと思いますが、当時はチャレンジするには年齢的に遅いかもと思ってました。

初めて地元を離れ、車に布団だけ積んで、フェリーで苫小牧に行き札幌で働き始めました。「地元の友達は結婚して子供が生まれるって歳なのに・・・」という不安と闘いながら自分にはこれしかないという思いで頑張りました。この洗剤メーカーにも営業で入社したのですが、2カ月ほどたった時に工場に行きたいと社長にお願いし、仕事が休みの土曜ならいいよとお許しをもらいました。

しかし、工場に行ってみたら、技術面では、もう学ぶことはほとんどなかったそうです。ただ、この会社が40年間の歴史の中で蓄積してきた工場の作業環境を知ることができたことは後に起業する上で大きな財産になりました。

茂木さんは、この会社で1年半ぐらい働いて秋田に戻り、とうとう起業します!手元資金50万円で!パソコンとプリンターを買ったらいきなり半分!

資金がないので、まずは洗剤を仕入れて営業に出かけ、お客さんとの関係づくりに取り組み始めました。いずれはもっといい洗剤を作って少し安く販売しようという考えでした。ところが、お客さんは増えてきたのに薄利なので全然お金が貯まらない

しかし、研究開発を始めたいと思い、茂木さんは思い切った行動に出ます。

どうしようか考える前に、ド直球であのライオンに直接電話して相談してみることにしました。ダメもとで電話してみたのですが、なんと快く相談に乗っていただき、原料ディーラーを紹介してくれたのです!

すごー!熱意が通じた瞬間です!

作業場もないので、実家の台所で化学薬品を混ぜて洗剤作りを始めました。

家族からは頭がおかしくなったように見えていたのかもしれません。だって実家に戻ってきたと思ったら化学薬品を混ぜてなんかやっているわけですかね。ハッキリ言って怖いですよね、化学薬品以上に自分が(笑)

そこで1000万円を借りて、作業場を作りました。

その作業場で作った洗剤で、さらに温泉施設や老人施設の清掃作業の営業を続けました。洗剤は原料メーカーからもらったサンプルを使って自作したのでタダ。利益率が良くなり、清掃しながら自作洗剤のテストもでき、作った洗剤をお客さんに売り込んでいきました。

最初に販売を始めた自作洗剤は油汚れ用洗剤だったので、飲食店の厨房に入って実演販売をしました。また、それぞれのお客さんから話を聞いて、ニーズに合った「オーダーメード洗剤」を作ってあげました。お客さんから何度ダメだしをくらっても作りなおして持って行き、決してあきらめませんでした。オーダーメード洗剤は大評判になりました。

そうした中で、最も燃えたのが、温泉浴場の水垢落としでした。温泉の泉質によって変わるし水垢ってとても頑固な汚れなので、なかなか落ちません。落ちないと燃え上がり、何度も作りなおしては試して、とうとう茂木和哉の最高傑作の「青鬼」という水垢洗浄剤が完成しました!茂木和哉、37歳のころでした。

これで自信をつけ、ネット販売を開始しました。ところが、全然売れなかったのです。製品には絶対の自信があったのに。

ネット販売の本を読みあさり、セミナーに参加したりしているうちに、とうとう原因に気が付きました。「業務用洗剤をネットで買う人はあまりいない」という事実です。それで方向転換し、一般向けの「泥汚れ専用洗剤」を販売することにしました。今の「茂木和哉 泥汚れ落とし」です。

これは、そこそこに売れましたが、無リンにこだわったため競合する洗剤より少し高く、満足できるほど売り上げは伸びませんでした。そこで、競合のない新しい洗剤を作ろうと決め、剣道や空手の道着専用洗剤の「サムライ」を作りました。今の「茂木和哉 皮脂汚れ落とし」だそうです。

柔道や空手は、野球やサッカーと比べるとスポーツ人口が少ないのに、競合品がないので売れました。なにか小さな洗剤メーカーの勝ち方のようなものがなんとなく分かった頃でした。

しかし、製造、出荷、お客様対応、売上管理のすべてを1人でやっていた茂木さんはこのころ体調を崩して入院してしまいました。それでも病院からタクシーで会社に戻りパジャマで製造したりしていたそうです。

退院後は、業務を外注することにしましたが、外注によって毎月赤字になってしまいました。でも、時間の余裕ができたので商品開発に打ち込み、今度は洗うほどに手が潤うイタリアはトスカーナ地方のエキストラバージンオリーブオイルから作った高級な成分を入れた食器洗い洗剤を作りました。さらにハンドソープとバスクリーナー、保湿効果の高いハンドクリーム、高級固形石鹸も作ってシリーズ化、パッケージもそれまでとは打って変わってすっきりとしたおしゃれなデザインにしました。

その上、高級イメージを出そうと東京の南青山にオフィスも借りました。茂木和哉、大勝負に出ました!!

ところが、これがまったく売れませんでした。それはそうです。食器洗剤1本が2000円だったのですよ。これは主婦が買える価格ではありませんでした。その上、もう一つの自信作、各地の温泉施設で実験を繰り返して完成させた究極の水垢落としも売れませんでした。

商品は絶対に良いはずなのに、お風呂の鏡の水垢に困ってる方はたくさんいるはずなのに、鏡の水垢をまともに落とせる洗剤がないはずなのに、ガンコな温泉の水垢を落としてきた人間が作っているはずなのに、売れませんでした…

「なぜ売れないんだ」と自問自答するうちに、茂木さんは気がつきました。

商品開発については努力してきたのですが、商品の事や作り手のことを知ってもらう努力についてはほとんどしていなかったんです。

そこで情報発信を頑張り始めます。まず、ブログを立ち上げ、茂木和哉が作った洗剤がどれだけすごいのか、洗剤を作った茂木和哉がどれだけ汚れ落とし人生をかけてきたかを発信し始めました。

1年間は最低でも1日1回は投稿すると決意しました。それまで作文もパソコンも苦手だったのに。ブログは敢えて専門的な内容にしたので洗剤を買ってくれそうな主婦ではなく化粧品開発者、清掃業者、温泉施設の方などが読んでくれるようになりました

初日は、冗談抜きで1記事書くのに1日かかりました(笑)

そして2019年からは、YouTubeも始めました。これも楽しんで作っている様子が分かります。チャンネル登録者数も7万2300人になっています。

彼が書くものやYouTubeを見ていると、こうしたネットでのマーケティングに大きな効果があり、彼も今では楽しくて仕方がないのを感じます。インスタグラムのフォロワーはさらに多く12万人に達しています。

どうでしょう?茂木和哉の生き方、秋田での起業の事例としてすばらしい!と思うのですが。

起業には興味ない人も、年末の大掃除やらなきゃいけないけどやる気が起きない人、茂木和哉のYouTubeをみているとお掃除がしたくなるので試してください!

竹内カンナ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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