自分の「好き!」で地域課題を解決 秋田コネクト2025第2部

2月22日、「あきた寺子屋」が運営する「秋田コネクト」が東京・上野とオンラインで開催されました。今年で13回目となりました。

今回の登壇者も、秋田の問題解決にいろんなアプローチから取り組んでいる方々です。第1部では事業に実際に取り組んでいる方たちを紹介、第2部では、県内25市町村の中で幸福度&住み続けたい街ランキングで4年連続1位を続ける美郷町役場高橋晋一さん、秋田県におけるスタートアップの支援体制についてあきた企業活性化センター羽川彦禄さん秋田銀行三浦怜さんにお話をうかがいました。

では第2部です。

白いラベンダーで特産品を開発

今回の秋田コネクトでは、大東建託の「街の幸福度&住み続けたい街ランキング」で、秋田県内1位を4年連続で獲得している美郷町の役場から高橋晋一さんにオンラインで参加していただきました。美郷町は水がおいしく、初夏には広大なラベンダー畑が美しい、自然に恵まれた町です。高橋さんは、幸福度ナンバーワンなのは、町の施策によるものだけではなく、住んでる方が日々、いろいろなことを幸せと感じられるような生活が送れる場所だからではないかと話されました。

同町では町内で見つかった白いラベンダー「美郷雪華」を利用して特産品を開発し、フレグランス、お酒、化粧品などの商品を発表、栽培農家も令和2年度の1戸から令和6年度は10戸にまで広がりました。今回の秋田コネクトには美郷雪華の香りを使ったクレイクリームシャンプーをプレゼントとして送っていただきました。トリートメント効果が高く忙しい子育て中の女性などに喜ばれているそうです。「これをきっかけに美郷町に関心を持ち訪問してもらえると嬉しい」、とラベンダーによるまちおこしについて丁寧に解説してくださいました。

起業をがっちり伴走支援

次はあきた企業活性化センターで起業を目指す特に若者への支援に情熱を傾ける羽川彦禄専務理事兼事務局長にご登壇いただきました。

羽川:3、4年ほど前に東京にある県の企業立地事務所で企業誘致に取り組んでいたときのことですが、東京にも秋田への思いを寄せる人材が驚くほど多くいて、秋田で活動するスタートアップの強力なパートナーや、その主役になりうる存在だと思いました。

都圏のワカモノのスタートアップの力で社会課題解決と経済成長を加速していくには、地域にしっかりと連携できるプラットフォームを作る必要がある。もうひとつ大事なのが県内の関係者をどう巻き込むかです。そこで昨年7月、県で「アキスタ」というプラットフォームをキックオフしました。

またスタートアップのモデルをしっかりと作り上げるため、「認定スタートアップ」を決め、発酵飲料の製造販売の「エス」、森の魅力を伝え森林の活用を考える「このほし」、大学生による高齢者サービスを提供する「Liberty Gate」、除菌消臭水「iPOSH(アイポッシュ)」の製造販売や社会課題解決をビジネスにする「Local Power」の4社を集中支援していくことにしました。

さきほど柿木さんがお話されていた「若者チャレンジ応援事業」は、スタートアップの登竜門とも言えます。何年もかかる起業までビジネスモデルの磨き上げを支援します。また、県外のスタートアップが秋田で実証実験を行うのも支援しています。

ソーシャルビジネスにせよスモールビジネスにせよ、起業にはそれぞれの成長ステージに応じてさまざまな課題がありますが、アキスタは、あらゆる課題やニーズに応えられると思っています。

首都圏では、「S4A(Startup For Akita)」という、スタートアップとかIT界隈のワカモノや支援する人たちに集まってもらって、ゆるく交流する機会も3年ぐらい前に始めました。

また、子ども向けの起業教育は大きなテーマだと思っています。県などでは、高校生向け、中学生向け体験セミナーも実施していますが、親や学校の先生にも、起業の重要性をしっかり認識してもらえればありがたいと思っています。

秋田経済にインパクトを与える会社を育てる

最後にご登壇いただいたのは秋田銀行の地域価値共創部三浦怜さんです。銀行員として新規事業をサポートしています。

三浦:「銀行が起業創業支援を実施しているのは、秋田県に県経済の担い手を増やすためです。雇用を創出することを3年計画の目標にしています。県内の開業率は全国的に見ても低く、県経済にインパクトを与えられるような規模の事業は少ない状況です。もう少し規模の大きな事業を作っていかなければいけないという思いがあって、いろんな取り組みをしています」

「秋田銀行は2017年にビジネスコンテストを始め、オンラインのコミュニティを運営したり、起業の機運を向上させることに力を入れてきましたが、2023年7月からキャピタルパートナーズという資金を融資するのではなく投資できる会社を立ち上げ、スタートアップへのお金の渡し方も増やしました。また今年度、起業家さんと一緒に伴走するプログラム『スクラム』を開始しました」

「起業家さんが自分のパーパスやビジョンを商品やサービスに込め、それをお客さんが買ったり使ったりすることで、社会が変わっていくことを目指します。ことしのスクラムには84組が応募し、そこから4組に絞って1年間ひたすら伴走し続けてきました」

採択した企業は、体に優しい発酵調味料「YUTAKA」を開発した小川友梨さん。体験型エンターテイメントで地域の魅力を発信するオモシロイことをする組織を県内の大学と連携してつくることを目指す佐藤綾子さん自然素材を活用した建材を開発・販売し建設業界に変革を起こそうとしている須山聡也さん空き家が市場に出やすくする方法を確立し住居に対する多様なニーズにこたえられるようにすることを目指す三澤雄太さん、舞さん夫妻です。

銀行だけではサポートし切れない部分については社外のメンターに入ってもらいました。また、あきた未来塾という、県内企業の後継者の育成塾の方たちに加わってもらって支援しました。起業家全員への勉強会は8回ぐらいやりました。その後は個別に分かれ商品やサービスのアイデアを県内の企業にぶつけて徹底的に意見を聞きました。15回ぐらい起業家とメンタリング、県内企業さんからのヒアリングは計100回ぐらいになり、協力できる企業様には協力してもらってアイデアベースだったものを商品やサービスに仕立てていきました。

 

プログラムの最後は県内企業とのビジネス交流会「スクラムサミット」を開催しました。地域にインパクトのある事業を作るというのは起業家さんだけではだと難しく、県内の企業さんを巻き込んで、その上で投資を検討してもらえる段階に成長させたいと思っています。社会にインパクトを与えるためには、売り上げ10億円以上の規模が必要だと思っています!

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ビジネスをやりたい人とそれをサポートしたい人、それぞれに熱いものを持って活動しています。こうした情熱がそのうち化学反応を起こして、何か大きなビジネスが生まれてくるのではないかと期待しています。

全員で記念撮影!