秋田女子ぃーず
設立2015年11月。
現在メンバーは、13名ほど。
メンバーは、20代~30代の女子で、東京と秋田の双方で活動中。
コンセプトは、「秋田が好き。秋田に愛着を持っている。秋田と生きたい。」
Facebookはこちら
メンバー紹介
写真左から順に、
●津野朋恵(つの ともえ)
由利本荘市出身。東京有楽町にある「あきたで暮らそう!Aターンサポートセンター」にて、秋田に暮らしたい方の為の相談窓口に勤める。
●菅原美里(すがわら みさと)
横手市出身。2017年4月末から秋田県横手市のゲストハウスでキッチンスタッフを勤める。
●長澤愛美(ながさわ まなみ)
秋田市出身。秋田女子ぃーずでは、企画や調整役を務めている。社会人3年目。
●白鳥みのり(しろとり みのり)
新潟県燕三条市出身。CAMOSIBAを通じて、今年4月に秋田女子ぃーずに参加したばかり。社会人1年目。
※本日の取材は、日程の都合が合うメンバー4人にインタビューしました。
※菅原さんは横手市在住のため、Skype参加。
*****
-秋田女子ぃーずで、ホームパーティはよく開くのですか?
●長澤さん
手作りの料理やお土産を持ち寄ったりして、いわゆる女子会をときどき開いています。
-とても楽しそうですね!
●津野さん
とても楽しいですよ!
普段は、菅原さんが料理担当なのですが、今年の4月末に秋田に移住したので、残りのメンバーで頑張って料理してみました(笑)
●長澤さん
今日のコンセプトは、菅原さんがいなくても”女子っぽいこと”をするなんです(笑)
-そうなんですね!
秋田女子ぃーずの設立のきっかけは何だったんですか?
●長澤さん
去年秋田にUターンした伊藤美波さんが発起人です。10年ほど首都圏に住んでいた伊藤さんが、移住などで秋田に関わり始めるときに、女性ならではの悩みや思いを共有するイベントをやりたいと集まったのがきっかけです。
●津野さん
その時に、Aターンサポートセンターの進藤(直樹)さんが窓口に相談に来ていた女性を集めて交流会を企画しました。そこから伊藤さんが中心となり、イベントを開催するに至りました。
●長澤さん
イベント後に作った参加者のグループチャットの名前が、たまたま「秋田女子ぃーず」だったので、今もそのまま団体名にしています(笑)
-どんなイベントを開催したのですか?
●長澤さん
移住・交流情報ガーデンで、「あきた・お茶っこ女子会」というのを開催しました。
●津野さん
「秋田×移住×女子の本音」をテーマに、お菓子を食べながら、女子だけで移住に対する不安(キャリアとか、恋愛とか…)をメインにリアルなガールズトークをするという企画です。
●長澤さん
女子限定という点と、秋田に移住したい女子と秋田に移住した女子が一緒に話す点が、秋田での暮らしに興味をもつ女性の本音を引き出せたと思っています。
-秋田女子ぃーずは、任意団体とのことですが、どんなコンセプトで運営しているのですか?
●長澤さん
Facebookページには、「秋田が好き。秋田に愛着を持っている。秋田と生きたい。」というコンセプトを載せていますが、実体としては「自分のライフスタイルを考えられる場づくりにおいて、女性ならではの視点を生かす」という広い枠の中で運営しています。
-なるほど!ちなみに、男性も参加していいのですか?
●長澤さん
はい、もちろんです!
●白鳥さん
私は、実は、秋田と関係があるのは大学だけで、出身は新潟県です。でも、秋田には故郷のような愛着を感じています。
女子ぃーずの皆さんは、秋田と何かの縁があることは共通していますが、それ以外はバラバラです。住む場所も、やっている事も、将来のプランも人それぞれです。私はこの多様性に魅力を感じていて、皆さんとの活動を通して、自分の進むべき道を考えていきたいと思っています。
●津野さん
みのりちゃんは、秋田女子ぃーずの枠の広さを象徴する存在だと思います。
最低限のマナーは守りつつも、ゆるく集まれる場所として私たちのグループの存在意義はあるんじゃないかなと思います。
●長澤さん
「ゆるさ」というのが、秋田女子ぃーずの重要な要素なんです。
-なぜ、「ゆるさ」が重要なんですか?
●長澤さん
この「ゆるさ」には、2つの意味があります。1つ目は、居場所としてのゆるさ。2つ目は、あり方としてのゆるさです。
●長澤さん
1つ目の居場所についてですが、秋田女子ぃーずには多様な目的や人生観を持った仲間がいます。「ひとりでいるよりは、みんなといた方が何かをやりやすいよね」という気持ちで、仲間がゆるく繋がっているんです。なので、団体のための団体ではないということなんです。
●長澤さん
2つ目のあり方については、私たちの関係性についてです。秋田女子ぃーずは、目的や想いを具現化するという各人のビジョンの集合体ではありますが、「仕事」という括りとはまた違います。
●白鳥さん
だけど、「友達」とはまた違いますよね!
●長澤さん
そうなんです。「友情関係」という感じではなくて、「信頼関係」をベースにしているので、なれ合いではなく建設的に話し合い、高め合うことができます。仕事とプライベートの中間にあるという点で、いい意味で、心地よくもゆるすぎないゆるさがあるんじゃないかなと思います。
-なるほど、おもしろいですね!
●津野さん
このコミュニティの場が、誰かのやりたいことをやりやすくする潤滑油的な場になるといいなと思っています。変なプレッシャーにならずに、楽しくやることが私たちの目的なんです。
●長澤さん
だから、移住するとか起業するとかというような個人的な決断は、誰も口出ししないし、みんな自分で決めます。
●長澤さん
どこで何をしているかに左右されない関係性ですし、個人がアクションを起こすことで女子ぃーずの幅が広がっていくと感じています。先日秋田にUターンした菅原さんとも変わらず楽しいことできたらと思っています。
-イベントの企画運営は、どのように行っているんですか?
●津野さん
秋田女子ぃーずは、ある意味「プロジェクト型」と言いますか、「こんなのやりたい」と手を挙げた人がいたら、それに賛同した人が自分のスキルを生かして企画を進めていくという感じです。
●長澤さん
みんな社会人ですから、得意なスキルがあるんですよね。例えば、菅原さんはアイデアマンですし、私はアイデアを形にしていく触媒的な役割、津野さんは外部のネットワークを必要に応じて繋げる役割というように、それぞれの個性をバランスよく生かせていると思います。
●津野さん
他にもデザインや広報が得意なメンバーもいます。
-少し聞きづらいのですが、女同士のバチバチの喧嘩とかないんですか?(笑)
●長澤さん
うーん、あんまりないですね。女同士の関係ではあるのですが、なんと言うか、人間と人間の関係なんです。
-ここからは、今日いる4人の方のキャリアや移住などに関することを聞いていきたいと思います。
津野朋恵さん
-津野さんのこれまでのキャリアについて聞かせてください。
●津野さん
私にはキャリアと呼べるようなものはありません。自分のやりたいと思ったことをやっているだけです。秋田の工芸品について調べたり、旅館に勤めたり、喫茶店で働いたりと、興味の向くままにやっていたので職種はバラバラですね。
-色々な職業を経験されたんですね!
●津野さん
私の秋田の実家が「乾物」の店を経営していまして、ゆくゆくは継ごうと思っています。
●津野さん
実家を継いだら、自分もいいと思えるものを提供できるお店にしたいです。地元では、「おいしい」と評判ではあるんですが、今の時代は物が溢れているので、取捨選択していく必要があるのではないかなと思っています。
-津野さんは秋田に帰る予定なんですか?
●津野さん
はい、その予定です。実家を継ぐというのもありますが、私は生まれ育ったあの環境で生きたいとしみじみ思っています。東京は文化や経済がある豊かな土地ですが、一生住む場所ではないのかなと正直感じています。
●津野さん
シンプルに言えば、自分の故郷に愛着を感じているんだと思います。両親がいて、愛犬や愛猫がいて、住み慣れた心地よいこの場所で死にたいと、幼い頃ながらに感じた記憶があります。
●長澤さん
津野さんは、なんと言うか職人気質だなって思います。もくもくと、事をこなしていく人なんです。
白鳥みのりさん
-秋田女子ぃーずに入ったのは今年の4月ということですが、どんなきっかけがあったんですか?
●白鳥さん
私は高校まで出身の新潟の三条市で過ごし、秋田の大学に進学しました。大学生最後の春休みに、CAMOSIBA(横手市十文字のゲストハウス)のお手伝いをしていました。
●白鳥さん
そこで、美里さんに出会い、秋田女子ぃーずを紹介されました。就職先は東京だったので、春休みが終わると同時に、東京の秋田女子ぃーずのメンバーと一緒に活動することになりました。
●長澤さん
みのりちゃんは、気づいたら入れられてたって感じですかね(笑)
-白鳥さんは、秋田に移住することを考えているのですか?
●白鳥さん
秋田から来たばかりなので「移住」というのは不思議な感じがしますね(笑)
まだ先のことは全然考えられていなくて、今は目の前の仕事にあっぷあっぷしています。一方で、職場と家の行き来になりがちな生活の中で、女子ぃーずという居場所があることは、とても有難いと思っています。
●白鳥さん
また、女子ぃーずは、息抜きの場だけでなく、仕事とは違った刺激を受ける場でもあります。例えば、愛美さんがイベント企画をしている姿を見ていると、企画者としてのプロジェクトの進め方やイベントの作り方を学べます。
●白鳥さん
「CAMOSIBA」でのお手伝いを通して、地元の人と関わる機会が増えました。秋田とのご縁は、これからもずっと育んでいけたらなと思っています。
菅原美里さん
-菅原さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
●菅原さん
私は、東京の短大を卒業して、そのまま東京で就職しました。仕事は、システムエンジニアで、5年くらい勤めた後、転職してウェブ制作をやりながら映像のカメラマンをやりました。ある程度してから、今度は、営業事務をしながら発酵食スペシャリストの資格を取得し、パンや発酵食の教室運営を小さく始めました。
-色々な仕事をされていたんですね!
●菅原さん
私は、ひとつの物事のエキスパートというよりは、好きなことを通じて複合的に人と関わるような、パラレルワーカーが向いているタイプだと気づきました。秋田には別の目的もあってUターンしてきたのですが、現在キッチンスタッフとして働いている「CAMOSIBA」のオーナーは、100年続く味噌屋の娘さんで、発酵の資格を持っている私がメニューも作っています。
-今年4月末に横手市にUターンしたということですが、他に目的があったんですか?
●菅原さん
はい。秋田県が主催する「ドチャベン・アクセラレーター」で金賞を受賞したので、そのビジネスを実現するために帰ってきたんです。
●菅原さん
そのビジネスについてですが、湯沢市の皆瀬地熱利用農産加工所を利用して、農産物を加工して県外に販売するといったものです。地場の農産物にフォーカスして、ドライフルーツなどを販売できたらと考えています。
-東京にいたときは、秋田女子ぃーずでどんなことをしていたんですか?
●菅原さん
趣味で作っていた料理やパンを喜んでくれる人がいるとわかって、それからはイベントで提供したり、女子ぃーずの集まりに持参して試食してもらったりしました。
●長澤さん
菅原さんが作る料理は、味は本当に美味しいし、食べるのがもったいないぐらい見た目も綺麗なんです。菅原さんからは、健康や食に関係する質の高いライフスタイルを教えてもらった上、女性らしいアイディアが、周りの人を楽しませるということを実感させてもらえました。
●津野さん
菅原さんの料理作りは、今開催している「コミュニティキッチン」のヒントにもなっていると思います。
●菅原さん
農産物加工のビジネスは、ターゲットが健康と美味しいものに関心があり、かつ可愛いものが好きな同世代の女性なんです。秋田女子ぃーずのメンバーがぴったり当てはまるんですよ(笑)
メンバーに試食してもらって、コメントをもらうというのが、リアルマーケティングができる場なんです。
●菅原さん
秋田女子ぃーずは、一般的な組織と違って、「~しなくてはいけない」といった価値観ではなく、共感した人が自主的に集まってプロジェクトを進めていきます。関わる人同士の満足度を大切にしているんです。
-「やりたい」という個人の思いと共感がプロジェクトを進めさせるんですね!
長澤愛美さん
-長澤さんは、秋田への移住を考えているのですか?
●長澤さん
私は国際教養大学を卒業後、東京に就職しました、今の仕事は、カタログを作成・編集をするもので、就職して3年になります。私は、東京と秋田のどちらも楽しみたいと思っている欲張りなんです(笑)
●長澤さん
秋田女子ぃーずでは、社長補佐的な役割が多いです。それも、「0→1」のような大きなことではなく、「0.3→0.5」のようなささやかな共有を楽しみたいタイプです。
●長澤さん
折角、その0.3を持っているのなら、立ち止まらないで進めていこうよって、相談を聞いたり、アイデアをまとめたりしています。私自身は、アイデアのタネが湧き出る方ではないので、持っているのにもったいないなと思っちゃうんですよね。
●長澤さん
秋田女子ぃーずの活動は、単純に楽しいと思うからやっています。仕事との両立は、今は探っているところです(笑)
-最後になりますが、秋田女子ぃーずのこれからのあり方について教えてください。
●津野さん
団体名には「秋田」と付いていますが、「秋田」をキーワードに集まっているというだけなので、秋田以外の人や田舎好きといった人がもっと関わってくれるようなコミュニティになればいいなと思っています。地方に関わるライフスタイルやキャリアを探している方がいれば、一緒に活動したいです!
●長澤さん
最近の地域活性は、「スーパーマン」みたいな人が活躍してブームになっているイメージですが、もっと「ふつうの人」が楽しめるものになったらなって思います。秋田女子ぃーずは、どこに情報を取りに行ったらいいのか分からない人や相談したり共有できる場を探している人が、気軽に集まれる場所です。
●長澤さん
多様な価値観や目的を持った人が集まり、同じ目線になって、フラットに自分らしく自分の人生をデザインできる場でありたいなと思います。
-秋田女子ぃーずに入るには、どうすればいいのですか?
●白鳥さん
秋田女子ぃーずに興味のある方は、イベントの時に直接声を掛けていただけたら嬉しいです!または、Facebookかメールでご連絡ください。
●津野さん
私の職場であるAターンサポートセンターに来ていただければお繋ぎいたします。
●長澤さん
地方に移住しようと考えている方をはじめ、料理できる方や、秋田の人と繋がりたいという方、企画に興味のある方、楽しいことが好きな方は、秋田女子ぃーずがおススメです。
●津野さん
秋田女子ぃーずに入ると、気張らずに情報交換ができますし、広く繋がりが生まれます。加えて、リアルな秋田の情報を知ることもできます。情報と仲間、そして機会を求めている方はぜひ一緒に活動しましょう!
-どうもありがとうございました!
イベント歴一覧
① 2016年1月
イベント:あきた・お茶っこ女子会vol.1
概要:秋田への移住に関して女性ならではの悩みや不安を共有できる場づくりや「リアルな情報」の提供が目的。
「移住した女子」と「移住したい女子」が秋田での生活に関する不安ランキングを題材に座談会を行う。女性同士だから話しやすい本音を語ることで移住を身近に感じてもらえる機会となった。
② 2016年4月
イベント: あきた暮らしぶっちゃけ会
概要:秋田で暮らすことに興味のある人の秋田県に対するニーズを細分化し、首都圏と秋田の人々をつなげる役割として秋田女子ぃーずにできることを探るヒアリング企画。結果として働き方の多様化や二拠点生活を理想とする声が多く、移住だけでは括れない秋田との多様な関わり方が求められていることが分かった。
③ 2016年10月
イベント:鍋っこ遠足in東京
概要:知り合いの方を集めて、県南の学校行事である「鍋っこ遠足」を再現。首都圏にいながらも秋田の文化を発信する大切さや楽しさに気づくきっかけとなった。
④ 2017年1月
イベント:あきた・お茶っこ会vol.2
概要:「自分らしい秋田と暮らすカタチ」をテーマに県外にいながらも秋田に関わる仕事をしているゲストと、秋田の地域や暮らしに興味のある参加者との交流を促進するための企画。秋田をキーワードに自分のライフスタイルを見つめなおすことを楽しむゆるやかなコミュニティづくりの土台ができた。
⑤ 2017年3月
イベント:あきた・コミュテニィキッチン キックオフ
概要:秋田の地域に想い入れのある人とその地域に縁のある食を楽しむ企画の第一弾。この回では湯沢市で仕事を始める菅原さんと事業の軸となるドライフードを活用したアイディア料理を体験。秋田女子ぃーずで感じる「安心と新しい気づきのあるサードプレイスづくり」を団体外の方に感じてもらう初めての機会だった。
⑥ 2017年4月
イベント:コミュニティキッチン 乾物を味わうだしbar
概要:継業を目指す津野さんと一緒に、由利本荘市にあるご実家の乾物を使った料理を楽しんだ。「地元で好きなところ」と「地元に持っていきたいくらい東京で好きなところ」を写真を見せて語るフォトトークを行い、県外を知る人だからこそ地元のためにできることについて考える時間を共有した。
文・写真/渡部みのり