午後のひとときボール遊びで楽しむ利用者たち
「おじいちゃん、おばあちゃんと話すのがとても面白かったんです。何も知らないわたしに、いろんなことを教えてくれました」(藤井さん)
愛生会は、鹿角市十和田の大湯温泉や花輪などで保育園や介護施設を運営しています。それだけでなく、仕事や学校にいけなくなって家にこもっていた人が社会に戻るきっかけを作るために最近、ランドリーサービスも始めました。地域包括支援センターを併設することで経営を立て直した温浴施設も運営しています。
地域が抱えるさまざまな社会課題に対してこぶしを握り締めて戦うのではなく、笑顔で真摯に向かい合うことで解決していく場所・・・なのかなと思いました。
取材に対応してくださったのは、デイサービスの相談員の藤井和(のどか)さんと介護施設への入所者の相談員を務めるケアマネジャーの安保香苗さん、同施設の最高コミュニケーション責任者(CCO)の木村芳兼さん。
介護の仕事を選んだ理由
安保さんと藤井さんに介護の仕事を選んだきっかけをお聞きしました。
安保さんは高校生の時に学校で愛生会のボランティア募集があったのに応募したのがきっかけだそうです。施設から家が遠かったので泊まり込みで数日間働いたのですが、職員の人たちの温かさに触れ、介護の仕事に興味を持ちました。社会人のスタートは保育士だったのですが、おじさんが愛生会の施設でデイサービスを受けるようになり、人材を募集しているのを知り応募しました。
藤井さんもきっかけは高校生のとき。おじいさんが倒れ昏睡状態になったとき、おばあさんに頼まれておじいさんの体を拭いてあげたことがありました。そのとき、おじいさんがにっこりしたような気がしたのがおじいさんとの最後の思い出になりました。
そんな経験がきっかけとなり介護を勉強したいと思い大学卒業後、高校時代を過ごした秋田市で働き始めましたが、地元に戻るのとほぼ同時に父親が脳卒中で倒れ、愛生会がユニット型の施設を増床するときにここで働くようになりました。介護の仕事というと、3K(きつい、汚い、危険)と思っている人が多いですが、藤井さんと安保さんには、そうした意識はまったくなさそう。
求める人材
木村さんは、「介護の仕事は誰にでもできると思っている方もいらっしゃいますが、向き不向きはあるんじゃないかなと思います。高齢者の暮らしを支える仕事ですので、優しい気持ちをお持ちだったり余裕を持ってお話を聞いてさしあげることが必要です。つまりコミュニケーション能力が求められますし、転倒などのリスクを見越して予防するといった気遣いも必要です」と優しさの大切さを強調されました。
また、新規事業所の立ち上げに関わったりすることもあるので、マネジメント力やリーダーシップが求められる場面もあります。仕事をやりやすくするための提案や必要なことを見越して調べたり、自ら動くといったことも求められます。
藤井さんや安保さんは、現場で責任ある役目を任されていますが、彼女たちの部下はほとんど年上の方たち。藤井さんは、「そういう人たちに何か厳しいことを言わなければいけない時とかは気の進まないこともありますが、私たちはトップの考えを聞く機会も多いので、その思いをみなさんに伝える役目があります。新しいことにチャレンジしていってほしいとも思っています」と話されました。
利用者の笑顔のために
利用者の方たちにより満足してもらえるようにと常に考え続けることも必要で、いい提案があれば次々と実行します。今年始めた家庭菜園などもその一つです。
「ずっと畑をやっていたけど、熱中症で倒れられても困るということで一人で畑に行くのは不安だと家族に言われた人がいました。それで、家庭菜園をやっている職員にお願いして9月に白菜の種を植えました。毎回、来るたびに様子をみて『うんうん』とうなづいている人もいます」。(藤井さん)小さな種からこんなりっぱに育つのかとびっくりするようなみごとな白菜でした。
地域と共に
月に1~2回は保育園の子供たちとの交流もあります。取材の日は子供たちときりたんぽを作ったそうです。クリスマスツリーの飾りつけといった年中行事も子供たちと一緒に楽しむそうです。
藤井さんは「近くに親も友達もいるし、育ったところで働けることは嬉しい」と語ります。安保さんは、「このあたりには祭りが多いので、都会で働いている人の中には祭りに合わせて帰ってくる人も多いです。でも、ここで働いていれば、わざわざ休みを取らなくても楽しめます」と話され、地域に根を張った暮らしぶりがうかがわれました。安保さんは錦木古川大太鼓、藤井さんも花輪ばやしに参加しているそうです。鹿角には毛馬内の盆踊りもあります。秋田にはほんとに各地に風情のあるお祭りが多い。
多様な働き方と資格取得を支援
愛生会は、子育てや親の介護をしている職員にもしっかり寄り添ってくれます。介護の現場ではシフト制になっていますが、それぞれの事情に合わせて働き方を選べるように配慮してくださるそうです。藤井さんも2人のお子さんがいらっしゃいます。
また、介護の仕事には多くの資格がありますが、資格を取りたい職員も応援してくださるそうです。研修会に出るために勤務時間の調整をしてくれるだけでなく費用も法人が負担してくれるのです。当たり前なような気がしましたが、そうでないところがけっこう多いとか。
取材にうかがった週は、県外から2組の視察団が来たそうですが、そういう人たちとの交流会に全職員を参加させてくれたり、福祉の全国大会に何人も出張させてくれるなど、職員の視野を広げるような機会も積極的に作ってくださるそうです。
取材を終えて:
わかば保育園にはじまり、ひとつずつ地域の課題を見つめながら特別養護老人ホームを開設し、事業を拡大してきた愛生会。それは、理事長、副理事長の地域に対する思いと、その思いをくんで共に進もうとする職員たちがいるからこそ可能なのだと思いました。
◆愛生会 HP https://www.aiseikai.or.jp/
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