秋田市を中心とした路線バス事業を中核として、観光業や不動産事業、日本航空(JAL)からの受託業務など幅広い事業を展開する秋田中央交通株式会社。
今回は秋田中央交通の社長・渡邉綱平さんと、若手社員の石郷岡肇さんに取材し、同社の仕事の魅力に迫りました。
「人の命」を運ぶから
秋田中央交通といえば、秋田市内を行き交う「緑のバス」でおなじみのバス会社。
まずはおよそ200車両のバスを保有し、300名以上の社員を率いる渡邉綱平社長へ、ずばりバス会社で働く魅力を聞いてみました。
バスは人の命を運ぶ仕事です。「お客様を安全に目的地まで運ぶ」ということは当たり前のことのようにみえますが、大変やりがいのある仕事だと思っています。
電車、バス、タクシー、すべては安全を守るドライバーがいるからこそ、私たちは無事に目的地までたどり着けているのです。
安全な車両の運行、簡単なようで決してそうではありません。ドライバーのやりがいや苦労、そしてそれを支えるために同社がいかに環境の整備に心を砕いているかが社長の言葉から伝わってきました。
安全といえば、同社の貸切バス事業には日本バス協会による安全性評価で「3つ星」が与えられています。この評価は、バス運行への安心と信頼を示すもので、最も高いランクです。
2019年からは走行中のドライバーが急病で運転できなくなった場合を想定し、乗務員や乗客がバスをスイッチひとつで緊急停止させることができる装置を貸切バスに導入しています。
また、毎年新車のバスを導入するなど、日々お客様のために安全性のアップデートを欠かしません。
近年はドライバー不足に頭を悩ませており、ドライバーを通年募集しているとのこと。
どのような人材を募集しているかを伺ったところ、バスに関する知識や運転技術の前に、まずはバスが好きであることが大前提。
そして、ドライバーには50歳代以上のベテラン層が多いので、どんな年代の人ともコミュニケーションがとれることが採用のポイントとなるそうです。
ドライバーは、運転だけでなくお客様とやり取りするシーンも多く、より接客業に近い対応が求められます。
秋田中央交通の未来はどうなる?
ドライバー不足に加え、人口減少が進む中で、今後同社はどのような戦略を考えているのでしょうか。そんな質問を渡邉社長にしてみると、いくつかのビジョンが見えてきました。
まずは「バスのキャッシュレス化」です。
大都市ではすでに導入されているバスのキャッシュレス化。地方での導入はかなり遅れているのが現状です。同社もまだ導入していません。
しかし、バス運賃支払いを全てSuica等のICカードで完結し、キャッシュレス化できれば、利便性が向上し、バス利用者増加につながるだろうと渡邉社長は考えています。具体的な日程は決まっていませんが優先課題の一つだと認識していると話されました。海外からの観光客やキャッシュレス派にとって嬉しいニュースです。
人口減少の中で、かなり意外ですが、同社は路線バス利用者は今後増加すると見込んでいるそうです。
秋田市内の65歳以上の高齢者は、市が交付する「コインバス資格証明書」を提示すると、市内の路線バスや「秋田市マイタウン・バス」に100円(現金)で乗車することが可能です。
高齢化が進む秋田市ではこの制度を使い、路線バスを利用する人は今後増加していくだろうと予想しています。
「緑のバス」だけじゃない!「空の窓口」でもあるんです
秋田中央交通はバス業務のみならず、日本航空からの受託業務にも取り組んでいます。
「なぜバス会社が空港の仕事をしているのか?」と疑問に思うかもしれませんが、地方空港のカウンター業務などは、地元の運輸系企業が受託しているケースが多いようです。
どのような業務かというと、旅客カウンター業務やパイロットとの交信といった専門的な仕事です。いずれも経験者ではなく、新卒で採用された県内の人がほとんど。採用されるとJALで研修を行った後に現場に立ちます。
空港で働きたいと応募する多くは女性。決して簡単な道ではありませんが、実際に10代の女性社員も現場で活躍しています。
秋田中央交通は「緑のバス」だけじゃないんです。
バス好きが働く会社
新卒から中途採用、Aターン希望者など幅広く採用の窓口を広げている秋田中央交通。やはりここは、バス好きが多く集まる会社。
石郷岡肇さんは秋田市出身の29歳。
子供のころから「緑のバス」を見て育ち、いつかあのバスを運転してみたい!という夢を持っていたそう。
大学卒業後は迷うことなく秋田中央交通へ入社し、ドライバーに対して指示・確認などをする運行管理者として業務をこなしてきました。
25歳の時に当時の配属先であった臨海営業所の所長へ「ドライバーになりたい」と打診したところ、快く承諾をいただき大型二種免許の取得に踏み出しました。
現在は運行管理がメインの仕事ですが、必要とあればヘルプとして路線バスのドライバー席にも座るマルチな人材として活躍しています。
「ドライバーの気持ちがわかれば、事務でも指示が出しやすい」と石郷岡さんが言うように、ドライバーとサポート役、お互いの「言い分」を理解できる存在として、社内の潤滑油役を果たしているようでした。
マルチな才能を発揮し、一分の隙もないように見える石郷岡さんですが、入社したての頃は親世代の社員となかなか話すことができず困っていたのだとか。
悩んでいても仕方がないので「話しやすい環境」をつくるため、休憩時に世間話をしたり、自分からコミュニケーションをとるなどして工夫したそうです。
社内で気兼ねなくコミュニケーションをとれるようになった今は、普段の業務も円滑に進み、先輩から様々なアドバイスをもらえていると自信を持って語られました。
創業100周年に向けて
最新テクノロジーの発展に伴い、秋田中央交通のバス事業も徐々にアップデートしています。
また、会社全体の効率化を図ることができる、石郷岡さんのようなマルチな人材育成にも力を入れていきたいとのことでした。
取材の最後には「2022年には開業100周年を迎えます。よりいっそう地域に貢献できるような会社を目指して精進していきたい」と社長から力強いお言葉をいただきました。
秋田中央交通のドライバーになりませんか?
秋田市内を運行する路線バスのほか、東京や仙台と秋田を結ぶ高速バスや貸切バスを運行している同社は現在、ドライバー(バス運転士)を広く募集しています。
ドライバー希望の場合、業務に関わる資格取得費用(試験費用)や大型二種免許取得にかかる費用(40万円強)は、会社が負担します。
また、近年は女性ドライバーも積極的に採用しています。現在同社で活躍する女性ドライバーは7名で、増加傾向にあるそうです。
渡邉社長は、「女性ならではの気配りや、きめ細やかな気質が現場で発揮されています」と笑顔で語られました。
バスドライバーは男性の職業だと思われがちですが、この会社なら女性も安心して働けると思います!
<秋田中央交通の採用について>
①バス運転士(多数)
②バス営業所事務(若干名)
③秋田空港 旅客・運航業務(若干名)
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取材・文:じゃんご https://dochaku.com/