女性も安心して働ける現場を目指して 横手建設株式会社

 

大正6年に創業し、2017年8月で100周年を迎えた横手建設。今回は同社で2年前から導入されたICT活用工事についてや、現場で働く若手社員に仕事のやりがいなどを伺ってきました!

横手建設の事業紹介

施工現場(増田中学校長寿命化改修工事)

横手建設は秋田県南部を基盤とし、一般住宅はもちろん、公共施設の建築・土木工事などの施工管理を行う総合建設会社です。会社近くの横手駅前広場のクリーンアップ活動や中高生の職場体験、インターンシップ受け入れを積極的に行っています。

コミュニティ施設・教育施設・福祉施設、道路舗装・河川の護岸工事、林道新設などのほか、住宅や工場の設計施工など、仕事は多岐にわたります。

最近の施工実績を紹介すると、増田中学校の長寿命化改修工事や、雄物川上流福部羅下流地区築堤工事など(その他の施工実績はこちら)。県工事の入札ランクは建築土木ともにA級で「信頼と実績」という言葉がぴったりと当てはまる会社です。

総務部 係長 齊藤大二郎さん

仕事の範囲は主に秋田県南エリアが中心ですが、県外(岩手県など)の仕事も請け負うことがあります。また、東日本大震災の復興支援に携わるなど災害時のライフラインも支えており、建設という枠を超えた活動にも取り組んでいます。

ICT活用工事の導入

ICT(情報通信技術)活用工事(i-Construction)とは、建設工事における測量、設計・施工計画、施工、検査を情報通信技術を利用した3次元データなどを活用して行い、建設現場の生産性向上を目指すことです。

これを導入することで、従来まで人が行っていた測量をドローンで行いドローンが撮影した写真から測量データを3D(三次元)で生成することも可能となります。また、ドローンを導入することで設計・施工時に必要な土の量なども自動で算出してくれるため、施工の効率化につながります。

また、ドローンのデータをICT建機(油圧ショベルなど)に読み込ませることで無駄のない施工を実現することができます。ICT建機は自動制御が可能で、経験の浅いオペレーターや女性でもクオリティの高い施工ができると期待されています。

ICTを活用するための機材を横手建設が導入したのは2017年。今回取材した若手社員の小玉晴香さんは、ICT活用工事の立ち上げにゼロから関わったメンバーの一人です。

小玉さんは、会社が購入したICT工事のためのソフトウエアの取り扱いをマスターするようにと言われたそうで、試行錯誤しながら使い方を身に付けたとのこと。今ではドローンを使い、測量・写真管理・施工管理などを行っています。

最新機器を用いるICT活用工事について、小玉さんは「専用のソフトを使いこなすまで時間がかかりましたが、無駄のない施工ができて助かっています」と話されました。

「専用ソフトは独学でマニュアルを解析し、わからないことがあればコールセンターへ直接質問していました」と小玉晴香さん(建築部 技師補)

現在、同社でこのソフトを駆使してICT活用工事ができるのは小玉さんを含め数名。これからもっと扱える社員を増やしていく予定です。これまで「職人の技」に頼っていた建築・土木現場では、今やICTやデジタル機器を使いこなせる能力が必要となっているのでした!

女性も安心して働ける現場に

幼いころに実家で妹と同部屋なのが嫌だった小玉さん。家を新築し、初めて自分の部屋を持てたことに感動を覚え、「たくさんの家族が幸せになる家をつくりたい」と建築業界を目指しました。

「私は人混みが嫌いで、都会には行きたくない!と思っていました(笑)」 と小玉さん

工業系の大学に進学した小玉さんは、周囲から大手建設会社への就職を勧められましたが、自身の故郷でもある横手市の横手建設へ就職することを決めました。いざ入社してみると、小玉さんのお父さんの同級生が上司だったり、現場で会う仕事仲間が小玉さんの参加している地元の祭りの顔なじみだったりと、知り合いが多く、社内でも現場でも和気あいあいとしているとのこと。

男性が多い現場ですが、男女間のハンディキャップはそれほど感じることがなく、むしろ現場では気を遣ってもらえるのでありがたいと小玉さん。冬には現場の除雪作業にも加わりますが、「ダイエットと思ってやってます!」と前向き。

小玉さんはICTやドローンをいち早く導入するといった、最先端の技術を取り入れる姿勢があることが同社のアピールポイントだと言います。当面の目標はICT活用工事をさらに円滑に進めることができるよう、自身の作業スピードを上げることだそうです。

小玉さんは毎年横手市で開催されている「よこて建設女子会」にも参加しています。このイベントでは、建設業に興味を持っている女子高生を対象に、小玉さんら女性技術者が仕事のやりがいや現場の魅力などを伝えています。

「この業界、『女性は不向き』というイメージを持たれがちですが、このようなイベントで女性が働いている現場を見せたり、伝えていくことで偏見がなくなり、女性も安心して働けるようになると思っています」と小玉さん。実際にこのイベントがきっかけで建設業界へ就職した女性もいるそうで、建設業界に新たな流れが生まれています。

「(一社)平鹿建設業協会 女性部SAKURA」の会長を務める小玉さんと横手建設代表取締役の武茂広行さん

入社2年目の藤原好規さんは、主に建築の現場で写真管理や施工図の作成を担当しています。この業界へ飛び込むきっかけとなったのは小玉さん同様、実家の新築でした。そこで建築の面白さに気づき、大学では建築を専攻します。入社当初、ベテラン層とコミュニケーションをうまく取れるか不安でしたが、みなさん優しくしてくれて助かったと藤原さん。

建築部 技師補 藤原好規さん

休日には同期と遊びに出かけることもあるそうで、自分らしく社会人生活を送れている様子が伺えました。取材の最後には「これからいろんな経験を積んで、信頼される人になりたい」と将来のビジョンを語っていただきました。

募集する人材

現在、横手建設が募集しているのは「技術職」、「営業職」、「企画管理職」です。技術職は主に建築・土木工事の計画・監督・指導・管理を担当し、企画管理職は現場の安全管理や工事の積算を担当します。

同社の従業員数は38名で、ほとんどが横手周辺エリア在住。近年ではAターンで入社する方もいますが、全員が業界経験者ではありません。未経験者でも能力次第でキャリアアップが可能とのことでした。

また、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する「ユースエール認定企業」にも認定されています。仕事とプライベートの時間を尊重して、仕事に対するモチベーションアップにつながるよう完全週休二日制(土・日・祝)をとっており、子育て支援も充実させています。

最先端の技術を取り入れ、地域に密着した事業を展開し続ける横手建設。取材の最後には、「200周年に向けて邁進していきたい」と力強いコメントをいただきました。

◆横手建設の公式ホームページ

◆秋田県就活情報サイト KocchAke!

取材・文:じゃんご https://dochaku.com/