北日本コンピューターサービス、超ホワイトなIT会社で仕事も趣味も楽しむ

秋田市を本拠とするシステム開発の北日本コンピューターサービス(北コン)を取材させていただきました!今回は、同社の中のシステム共創部を中心にお話をうかがいました。新しいトレンドを追求し新規事業の開発を担う部署です。

同社は、自治体が導入している生活保護システムの60%のシェアを握り全国ナンバーワン。しかし、それに安住することなく、常に新しい分野にチャレンジし続けています。

経済産業省から「地域未来牽引企業」に認定されているほか、若者の採用・育成に積極的な企業として厚生労働省の「ユースエール2020年度」や秋田県の子育てをしながら働きやすい職場づくりに積極的に取り組んでいる「あきた子育て応援企業」としても表彰されており、働きやすさに配慮しています。

IT=男社会、IT=理系は古い

インタビューに応じてくださった同社システム共創部五十嵐部長が指名した若手3人は全員女性で、男性中心と言われるIT業界への女性の進出が進んでいるのを感じました。その上、有岡さんのように文系であるにもかかわらずSEとして働いている人も多く、IT=理系のイメージはもう古いのかもしれないと思わされました。

五十嵐部長によると、北コンは、自治体向けのパッケージソフトウエアが主力で安定した収益を稼ぎ出していますが、システム共創部は、これからの社会を予測しながらDX(デジタルトランスフォーメーション)、AI(人工知能)、アジャイル開発と、常にICT(情報通信)の新しいトレンドを追求している部署だそうです。

パッケージソフトを守りながら新規事業も

五十嵐部長

システム開発の世界では、クラウド化が進展する一方、今までローカルルールで自治体が個別に調達してきたシステムを国が仕様を取りまとめて開発し、自治体に導入を義務付ける時代に変わろうとしているそうです。そうした中で、同社も今までのやり方を大きく変えなければいけないと考えています。

プロジェクト・マネジメントの手法についても、先が読めない時代ですから、状況をみながら臨機応変に方向を転換する必要があると考え、1年前からアジャイル開発を導入したそうです。話題にはなっているもののまだ実際に導入しているところは少ない手法です。

女性比率は約25%

システム共創部デジタルイノベーション課は、3年前に創設されて以来、新入社員を1~3名採用しており、現在12名。そのうち4名が女性です。

また、240名の全従業員のうち約60名が女性。常に産休・育休を取っている人がいて、取るのが普通な環境が整備されています。

女性の採用に力を入れているのかとうかがうと、「そういうことはありませんが、女性の方が信頼できるんじゃないかな。途中で、できませんという人がいません」と五十嵐部長。女性へのリスペクトを感じるお言葉でした。

システム開発は、エンドユーザーがどうすれば喜んでくれるかということを意識しながら進める必要があるので、女性のきめ細やかさが生きると感じているとか。

営業職でも女性の方が話を聞いてもらいやすいので、女性の営業職を増やすという方向性は全社的なものだそうです。

勤務時間は、午前8時45分から午後5時45分まで。子育ての制度も充実しており、時短勤務もできるので、結婚や出産の時に会社をやめる人はほぼいないとのこと。

入社すると約3カ月外部研修を受けます。ITインフラやプログラミングをゼロからでも大丈夫なように教えてくれるそうです。またeラーニングや、営業職向け、エンジニア向け研修や、階層別(主任、係長、課長、部長)研修もあります。

約半分は県外から採用

また県外人材の採用にも積極的で、従業員のざっくり半分は県外出身者だそうです。札幌、仙台、大宮、大阪、福岡にもオフィスがあるので、秋田で入社し、県外で働いている人もたくさんいます。ただ、新型コロナの影響で客先に行って作業をする機会が減ったので、単身赴任を減らしたいこともあり秋田回帰の動きが強まっているそうです。

借り上げ社宅制度など住宅補助も充実しています。スポーツジムの法人契約や社内の親睦会を開くための支援制度もあります。

SEの有岡さん、ワークライフバランス重視

若手3人に同社に就職した理由や働き甲斐についてうかがいました。

まずは秋田から1000キロメートル以上離れた西日本出身の有岡さんにお話をうかがいました。入社3年目でSEの有岡さんは現在、ウェブアプリケーションの開発AI関連のシステム開発に携わっています。

有岡さんが、北コンと出会ったのは、たまたま参加した首都圏での秋田県企業の就職フェアだったそうです。就活では地域にこだわらずワークライフバランスの取れそうな会社を探していました。人混みが苦手で、ゆったりと暮らせるところがいいと思っていたそうなので、きっと秋田という地名に何かビビっとくるものがあったのでしょう。

有岡さん

「就職する時に重視したのは仕事と私生活が両立できるかという点でした。どの企業も有給休暇がこれだけ取れますよーとは言っていますけれど、実際の取得日数を出している会社は少ないですが、うちの会社はそれも出していたので信頼できるかなと思い直観で決めました」

ちなみに、北コンの平均有給休暇取得日数は年間15日(約80%)、1カ月の残業時間は8.5時間。土日祝日は原則「出社禁止」になっているそうです。

また、有岡さんは親族や知り合いが秋田に全くいないので、自分が秋田にいることで家族や友達が東北を訪れるきっかけになれたらいいとも考えたそうです。

入ってみて、思っていた以上に上司や後輩との人間関係がよく、3年目にして、まだ会社に行きたくないと思ったことが1日もないとか。

秋田に来たばかりの時は、秋田弁が分からず、タクシーで行先を告げてもまったく通じず、やっとのことで家にたどり着いたということもありましたが、今では問題なく理解できるそうです。

文系出身だったので、入社時にコンピューター言語のJAVAを知っておかなければならないと言われたことがちょっと不安でしたが、外部研修やOJTで時間をかけて教えてもらうことができ、技術習得の面でも不安はなかったとのこと。

残業はほとんどなく趣味に使える時間がたっぷりあるので、今はドイツ語を勉強しているそうです。

いつも新しいことにチャレンジし続け、30歳になっても40歳になっても、常にこれでよいのか、何か新しいものはないのかと探す姿勢を忘れない人間になりたいです。そしてそんな私を見て後輩が目標にしてくれるようになったらいいなと思っています。

きっとそういう先輩がいるから、そうなりたいと思えるのでしょうね。

営業職の佐々木さん、シェア全国トップは嬉しい驚き

次は、営業職の佐々木さんにお話をお聞きしました。佐々木さんは羽後町出身で、文系です。有岡さんと同期で入社3年目。大学は山形県に行きましたがはじめから就職は秋田県内と決めていたそうです。今年の9月まで埼玉の支社にいて10月に戻ってきたばかり。AI関連のシステムなど新規商材の営業を担当しています。

大学では社会学を学びましたが、就活ではIT企業に的を絞っていました。調べていくうちに、秋田に生活保護のシステムでシェアがナンバーワンの会社があると知って驚き、応募しました。大学時代に地域活性化や自治体の取り組みについて研究していたので、北コンなら自治体に貢献できると考えたそうです。

佐々木さん

埼玉県大宮にある支社で2年勤務し10月に戻って来ました。埼玉では生活保護システムの保守がメインで、今は、新しい商品商材を自治体に向けて販売しています。有岡さんと同様、上司や先輩・後輩との関係がよく、それに支えられてきたと語っていました。

最初は分からないことが多かったが、教えてもらって徐々にシステム関連のことも詳しくなり、今はまったく問題なく仕事をできていると語っていました。

営業ってノルマがあって気合いを入れて取りに行け!というようなイメージでしたが、数字が伸びなくても、1人で頑張っているという感じではなく全員が一緒に戦略を考えたり勉強会をやってお客様にどう説明すればよく理解してもらえるかとかをみんなで一緒に考え、教えてもらいながらできるのがすごくありがたかったです。

余暇には、プロバスケットボールが好きな家族と一緒に秋田ノーザンハピネッツの観戦に行くのを楽しみにしているそうです。また秋田に戻って車を買ったので、ドライブなどアウトドア系でも何かやりたいと思っているとのことでした。

将来的には、「営業の手法とかで自分らしさを追求していってお客様に信頼される営業になれたらいいなと思っています」と語ってくれました。

コロナで都会志向から地方志向に転換

畑中さんは、出身は岩手県大学は青森県に行き、今年の春に入社したSEで、ウェブアプリケーションの開発をしています。

畑中さん

就活の時は、華やかな都会に憧れていたのですが、新型コロナウイルスによってさまざまな制約を受けたため、方針を変更し、安定した地方企業を探し始め北コンに巡り合ったとのことでした。消極的な理由で秋田に就職した畑中さんですが、来てみると食べ物がおしくて、特にお米は炊き方にもこだわりが出てきて、最近は土釜で炊いているそうです。その上、秋田はお酒がおいしいので、今では秋田に来てよかったと思っているそうです。秋田が気にいってくれて嬉しいですが、岩手もお米おいしいんじゃないんですかねえ。土鍋で心を込めて炊くのがおいしさの秘訣だと思います。

会社のよいところとしては、分からないことを気軽に聞けることを挙げられていました。またシステム共創部では最先端の技術やトレンドに常に目を光らせていて新しいことにどんどん取り組んで行こうという空気を感じると話されました。

またSEの仕事というのはコンピューターに向かって1人で黙々と仕事をするイメージでしたが、デジタルイノベーション課はいつも会話が絶えず、外の空気を吸いに行ったりもでき、けっこう自由なのだそうです。

アジャイル開発は、スケジュール管理などにも影響を及ぼしており、デジタルイノベーション課では、月曜にその週の仕事についての会議があり、金曜に1週間を振り返ります。そしてどのようにすれば翌週にもっと効率を上げられるかを話し合うそうです。

1週間に一度は顧客に会って要望を直接聞く機会もあるので、修正が必要なポイントが認識しやすく、それをきっかけに新しいアイデアがわいて来ることも多く、やり甲斐を感じています

意識合わせをしながら進むので、やるべきでないところを先にやってしまったといった作業の齟齬(そご)が起こりにくいシステムなのだそうです。

今は、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の資格を取りたいと思っているそうです。この資格は12種類あり、いつでも受験できますが、クラウドのさまざまなスキルを持っていることの証明になり非常に役に立つ資格なようです。北コンでは勉強できる環境が整っていて資格を取得した先輩のアドバイスや受けた人の感想などもみられるようになっているとのことでした。

将来の夢をお聞きすると、「社内に、このシステムを作ったのはこの人だとか、AIならこの人だというように確立されたものを持っている人がたくさんいるので、私もそういうものが持てたらいいなあと漠然と思っています」と話されました。

指示せず示唆する部下の教育

インタビューした若手全員が口をそろえて会社の人間関係がよいと答える会社はなかなかありません。

たぶんそれは、五十嵐部長が語っていた、「『こうしなさい』というのではなく『世の中こういうほうが主流になっているよ』とか、『こうした方が効率が上がるんじゃないか』などと示唆して、自分からやりたくなるように仕向ける部下への接し方が浸透しているためではないかと思いました。

最後に五十嵐部長に就活中の学生に向けてメッセージをいただきました。

秋田は、どうしても田舎なので遅れているというイメージを持たれると思うんですが、でも逆にベンチャー企業とか小さい企業の方が小回りが利くという面もあります。当社は古い会社ではありますが、そういった意識で、新しいことにどんどんチャレンジして日本だけでなく世界から新しいことを吸収していきたいと思っていますので、少しでも興味を持っていただけたらお声を掛けてください

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インタビュー全体に同社の闊達でチャレンジ精神にあふれた雰囲気が表れていたように思います。五十嵐部長にも趣味をお聞きしたのですが、アウトドア系でトレッキングとかスポーツクライミング、さらにロードバイクウェイトトレーニング、さらにバレーボールの指導もしているそうです。その一方で、コーヒーにこだわっていて、ご自分で豆の焙煎をするという、なんだかドラマに出て来そうなかっこいい上司でした!

◆ 秋田県の就職情報サイト「KocchAke!」の北コンのページ

◆ 北コンホームページ

◆北コン採用情報サイト(企業動画・先輩の声など)

取材:有馬徹、竹内カンナ

文:竹内カンナ