ボロボロだった肌が見違えるように 東成瀬村への感謝と新たな産業の創出を目指しオールインワン保湿液を開発 なるテックの永山和宏さん

永山和宏さん。秋田県の東南端、栗駒山麓にある東成瀬村に3年前、忽然と誕生した東成瀬テックソリューションズ(なるテック)という会社のスキンケア事業のリーダーです。東成瀬村に湧き出る温泉水を使って保湿効果の高いオールインワンの基礎化粧品「akaulu(アカウル)」を開発、7月22日からこの事業を応援したい人や化粧品を使ってみたい人を募るクラウドファンディングを開始しました。

なるテックは面白い会社です。そのうち記事を書いてみたいですが、全国でもこうしたビジネスモデルの会社はほとんどない。ご興味のある人は秋田県の関係人口Webサイトあきコネの同社についての記事をご覧ください。

農業が主要産業のこの村で、なるテックの社員たちは、システムエンジニア、コンサルタント、ウェブマーケターとして働いています。かと思えば、東成瀬村でお米を生産していたりはちみつを生産していたり。目が離せない会社です。

ITに関してはリモートワークでもできる仕事なのですが、社員の全員が東成瀬村に住んでいます。実は、彼ら、自治体が求める移住促進などの業務を遂行したり、地場産品の開発や販売をしたり、農林水産業に従事する地域おこし協力隊の隊員なのです。

永山さんもその一人。2年半、東成瀬村に住んでいます。最初はWebライターとして。そして1年半前からは社内で新規事業の立ち上げに乗り出しました。

年2月、WE LOVE AKITAが東京の秋田産業サポータークラブと共同で開催したイベント「秋田コネクト」で、永山さんは、なるテックの会社説明とともに自身のあふれる思いを実現しようと取り組むスキンケア事業について語ってくれました。その事業が相次ぐ困難を乗り越え、商品開発を終え、クラウドファンディングにこぎつけたので、われわれとしても感慨深いものがあります。

秋田コネクトに登壇

永山さんは、2年半前になるテックに入社し、東成瀬村にやってきました。

東成瀬村に来る前は人生に思い悩んでいました。なるテックを知って東成瀬村に行こうと思ったのも人生を変えたかったからでした。

「移住前はLGBTQとしての葛藤、そして乾燥や赤ら顔に悩んでいました。グリーンのコントロールカラーを塗っては自分の肌を隠す日々。満足のいくスキンケアに出会えていませんでした。」

ツヤツヤなお肌がまぶしい今の永山さんからは想像ができない!

温泉水は肌によい!

なるテックができたばかりの頃、村にはまだ大勢の移住者が住める住宅がありませんでした。そのため永山さんはほぼ2年間、村内のホテルに住み、毎日のように温泉で入浴していました。(なんとラッキー!)

また、休日にはメンバーと近隣の温泉に行くこともあったそう。気づくと肌の調子が良くなり、きれいになってきたのです。

その話を周囲の友人にしたら、「そもそも東成瀬村の方って肌がつやつやだよね。もしかしたら温泉に入っているからではない?」という話になりました。

調べてみると、通っていた温泉の一つ「なるせ温泉 東仙歩(とうせんぼ)」の温泉水は弱アルカリ性。肌には弱酸性がよいと言われていますが、実は弱アルカリ性も肌の状態によっては美肌効果があるのです。皮膚表面の固い角質を柔らかくし、しっとりさせ、スキンケアの成分が肌に入りやすくなるのだそうです。

一方、永山さんはその頃、東成瀬村が人口減少によって存続が厳しい自治体であることを知ります。東京で生まれ育った永山さんは、自分が育った自治体がなくなるなんて、知識では知ってはいたものの実感したことはありませんでした。東成瀬村で、それをひしひしと感じたのです。何か自分にできないかと考え始めた時、村の温泉水を活用したスキンケア商品の開発をやってみようと思いました。

スキンケア事業で東成瀬村に新たな産業を起こしたい!

「自分は村にも秋田県にもたくさんお世話になったので、地域おこし協力隊の3年の任期後も東成瀬に残ろうと思っていました。その東成瀬村がなくなる可能性があると知った時、とても寂しく感じたんです」

だからこそ、村の魅力を発信すると同時に、スキンケア製品の会社を作って利益を上げ、会社を大きくすることで、東成瀬村や秋田県で暮らし続けたいと思っている若い人たちを雇用できたらいいなと思うようになりました

スキンケアは大好きだったこともあり、勇んで製品の開発を始めた永山さん。秋田県内の工場で製品をつくりたいと思ったものの、県内でOEM(相手先ブランド製造)で化粧品を作ってくれる会社はたった1つしかなく、それも同じ県内とはいえ東成瀬村からはめちゃめちゃ遠い鹿角市でした。問題はそれだけではありません。最低生産ロットが3000本と想定の10倍でした!

永山さんは悩みました。それでも秋田県内での製造にこだわり、当初考えていたよりずっと多くの人に買ってもらわないと赤字になってしまうリスクを覚悟しました。

「県内で製造すれば県内にお金が落ちます。私はスキンケアビジネスを大きく育てて、仕事がないから秋田を出ていかなくてはいけない若者が秋田にとどまれるようにしたい。そして県内が潤うようにと思ってこの事業を始めたのです。3000本が多いとは言っていられません」

永山さんのこだわりは、それだけではありません。化粧水やクリームが一体となったオールインワンにもこだわりました。オールインワンにすると、化粧水、美容液、乳液と順番にゆっくりと肌にのせるより効果が実感しにくくなります。実際、試作を始めたころは効果が感じられず、結局、10回近く試作を繰り返しました。

何度も試作を繰り返し満足のいく製品に仕上げました

お肌をしっとりさせるための成分としてセラミドスクワランをたっぷり使い、それにホホバ種子オイルマカダミア種子オイルを入れ、肌荒れを防ぐマダガスカル島で発見された希少植物のアンボラから抽出されたアンボラエキスなど入れ、とても贅沢な製品になりました。

全人類の同じ悩みを持つ人を救いたい

「オールインワンにこだわったのは、少し大げさと言われるかもしれませんが全人類の同じ悩みを持つ人に使ってもらいたかったからです。忙しくてスキンケアを丁寧にする時間のない人や男性にも使い続けられるものにしたかった。だからオールインワンでも効果が実感できるように肌にいい成分をたっぷりと詰め込みました。それに妊婦さんや男性にも使いやすいように無香料にし、肌が弱い人も使えるようにアルコールフリーにしました」

クラウドファンディングを行うことにしたのは、想定よりもお金が掛かったからということもありますが、それよりもリターンに東成瀬村が誇るお米や温泉宿泊をつけて、製品のファンになってもらうだけでなく東成瀬村のファンになってもらいたいと思ったからです。また、地域の未来を担う子どもたちへの応援資金にもしたいと考えたからです。

「いい製品ができたので、できるだけたくさんの人に手に取ってもらいたいとは思いますが、それだけに終わらせず、秋田のためになりたい、それに次世代の子どもたちを応援したいと思ってクラウドファンディングの返礼品を考えました」

あふれんばかりの東成瀬村への思いをのせた永山さんのクラウドファンディング。詳細は下のQRコードからご覧になれます。

11月頃、クラウドファンディングの返礼品が届く頃には東成瀬村は紅葉の時期を迎え、酷暑の今はちょっと想像できませんが、お肌の乾燥が気になる季節です。皆さん、温泉水を使ったスキンケア製品で永山さんと東成瀬村を応援しましょう!

【クラウドファンディング概要】

https://www.makuake.com/project/akaulu/

期間 :2024年7月22日(月)12:00 ~ 2024年10月15日(火)22:00

内容 :akauluの事業立ち上げにおけるクラウドファンディング

【お問い合わせ先】

事業名 :東成瀬テックソリューションズ株式会社 スキンケア事業部 事業リーダー

永山和宏(ながやまかずひろ)

メール:kazuhiro_nagayama@narutech.co.jp

電話番号:09035153812

会社住所 〒019-0801秋田県雄勝郡東成瀬村田子内字仙人下30-1東成瀬村山村開発センター

会社HP https://www.narutech.co.jp/

文:竹内カンナ