秋田の企業約60社が東京で求人!

東京の人たちに秋田で働くことの魅力を伝えようと7月29日、秋田の企業約60社が台東区浅草橋で行われた「Aターンフェア」に集結しました。60社といいますが、各社がいくつもの職種を募集しているので、合計するとかなりな求人数になります。

Aターンとは・・・秋田県出身者もそうでない方も、みんな秋田へきてください!!との願いを込めたオールターン(ALL TURN) の「A」と秋田(AKITA)の「A」をかけた言葉だそうです。

浅草橋徒歩3分のヒューリックホール。建物の外は静かな雰囲気ですが、入ったとたんに赤や白のはっぴを着た秋田県庁や自治体の方々があちこちに立っていて、なんだか祭りの雰囲気。(数週間前の移住相談会ではお囃子まで聞こえていたそうです!)夏になると東北人はすっかり祭り気分です。毎週のようにどっかでお祭りやってますから。

前回2月のAターンフェアは、県庁に電話一本しただけで取材に押し掛けましたが、今回は、事前に「秋田に帰りたい。仕事があればなあって思ったらすべきこと」というテーマで取材したいとお願いしておき、秋田県庁から来る佐藤渉さんにお話を聞けるよう段取りをしておきました。

受付で佐藤さんをお願いすると、奥の方から佐藤さんがさっと出てきて、空いているテーブルに案内してくださいました。

さっそく用意していた質問をお聞きしました。

Q: 秋田に帰って仕事したいと思ったらどうすればいいんでしょうか?(ベタな質問!)

A:まずは、「Aターン登録」をするのがいいと思います。登録方法は3つあり、インターネットなら、①「秋田県ふるさと定住機構」のWebサイトで登録ができます。あとは ②Aターンプラザ秋田の窓口(千代田区永田町の都道府県会館7階の秋田県東京事務所の中)、③Aターンサポートセンターの窓口(千代田区有楽町の交通会館8階のふるさと回帰支援センターの中)に行くことです。

あきた未来創造部移住定住促進課の佐藤渉さん

この登録をすると、秋田の求人を調べたり、条件に合った求人の案内をもらうこともできるそうです。ウェブサイトの登録は便利ですが、リアルな窓口に行って、いろんな個人的な事情などを説明すると、県内企業のことをよく知っている担当者が、たとえば、急いでるとか、逆に今すぐじゃなくていいとか、こういう求人じゃなければ考えないとか、そういった個々の事情に合わせて親身になって考えてくれるというメリットがあります。

こういう取材で必ずもらう秋田県移住ガイドブック「”秋田暮らし”はじめの一歩」に登録の仕方なども丁寧に説明してあります。この冊子は移住の先輩たちの声を通じて秋田に暮らすことの魅力を伝えてくれます。

”秋田暮らし”はじめの一歩

”秋田暮らし”はじめの一歩の26ページに就職活動の案内が載っています。面接のために秋田へ行くときの交通費には助成制度もあるそうです

 

24ページには、引っ越し費用や暖房器具購入費用の助成まで移住者向けの制度が詳しく書かれています

秋田県東京事務所では最近、首都圏の大学の就職課に対し秋田の企業をアピールすることなどにも力を入れています。秋田には地元に根付いた知られざるいい企業が多いので、県も情報発信にかなり協力しています。

新卒で秋田に就職したい人のためには、県がウェブサイトの「KocchAke!(こっちゃけ)」というのを準備しています。

こっちゃけ!

また、秋田への移住や就活のためにアプリもあります。「秋田GO!ENアプリ」。Aターンフェアや各自治体が行う移住イベントなどを知らせてくれるほか、そうしたイベントに参加してポイントを貯めると、なんと秋田県内で優待サービスを受けられるそうです。

アプリのアイコンを拡大してみたら、なまはげでした!

さて、では、いよいよ企業の取材に行ってみます!

どの企業にお話をお聞きしようか、というところで、あまりに数が多いので、困ってしまいました。

Aターンフェアの会場はとてもシステマティックになっていて、名前を登録すると、資料を渡され、その資料の中から話を聞きたい企業を選びます。選んだ企業の相談担当者が空いている時間帯が一目でわかる大きな表がホワイトボードに貼ってあり、面接時間を選べるようになっています。しかし、資料が82ページもあるんです。

事前にある程度目星を付けておかないと、その場で面接先を決めるのは大変かもしれません。知らない企業に自分にピッタリの職種の募集があるかもしれないので、いかに短時間でこの82ページの冊子に目を通すかがこのAターンフェアを成功させるポイントかなと思いました。あるいは事前に求人を調べ、応募書類を提出し、面接のためにここに来るか。

ちょっと逆転の発想かもしれませんが、ここで渡される資料をもらうことを目的にし、あとでゆっくりと個別企業について勉強して、面接をしに秋田に行くのがいいかもしれません。交通の助成があるそうですし。

企業紹介の冊子は薄そうにみえるかもしれませんが、82ページもあるんです

82ページの資料に目がチカチカした私は、つい、だれでも知っている有名企業に走ってしまいました。わたしとしては、知られざるいい企業が好きなんですが、即断を迫られ、つい・・・。

各社のブースがズラリと並び奥の方はかすんでました(笑)

それは、おはよう納豆で有名な株式会社ヤマダフーズさんでした。

ヤマダフーズの佐々木広喜さん、突然やってきた正体不明の女性に警戒気味?

秋田の人にヤマダフーズのことを説明する必要はないと思いますが、念のためサクっと説明しましょう。ヤマダフーズは仙北郡美郷町に本社のある全国第4位の納豆の会社です。首都圏のスーパーでも取り扱いがありますが、ほとんどがひきわり納豆一種類だけ。しかし、聞いてびっくり!コンビニ大手3社つまり、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの納豆巻は全部、ヤマダフーズの納豆を使っているそうです。会社の名前は出ないけど業務用の納豆として高いシェアを持っています。

募集職種、たくさんあるのですが、かなり専門知識の必要な職種が多い。Aターンフェアは、参加企業のリストが発表されるのもけっこう直前で、どのような求人があるかはほとんど分からずに来る人が多いのではないかと思われるので、そうした場所で、「工場設備のメンテナンス、電気関連業務、シーケンサーのプログラミング等ができる設備管理担当者」を探すのは無理じゃないですか?とお尋ねしたところ、「実際には人材紹介会社などを使ってます」とおっしゃってました。でも、2月のAターンフェアでは、来場した学生さんを実際に採用したそうです。募集職種を見て怖気づかず、行ってみると何か得るものがありそうです。ヤマダフーズはほかに研究職、商品企画開発、営業職も募集しておられました。

次は、以前から全国どこでも仕事の内容はだいたい同じだし、だったら通勤が楽で住居費が安い秋田でやればいいんじゃないの?と思っていた介護の仕事について横手市の社会福祉法人相和会の田畑真志さんのお話をうかがいました。相和会は高齢者福祉施設を4施設、保育園を2施設運営しているそうです。秋田の高齢者福祉施設は人手不足が深刻。そのため、相和会はFacebook、Twitter、ホームページなどで10~20歳代の若い方をはじめ幅広い年代の方たちに関心を持ってもらいたいと情報発信に力を入れているそうです。田畑さんもサラリーマンだったのですが、子育て環境がよく、ライフスタイルにゆとりがもてると思い秋田に戻られました。秋田は暮らしやすいし、人と人の関わりに温かさがあると思ったそうです。相和会は、安心して長く働いてもらえるように約8割が正社員で、そうでない人は、正社員ではない働き方を選択した方がほとんど。退職金も2つの制度があり、その内の1つの掛金は法人が全額負担しており、職員1人当たり年額約13万円になるそうです。

実は、最近、秋田の介護業界の給与が全国でも低い方というのを知ったので、その点についてお聞きしました。田畑さんは、「月額の給与も当然ですが、退職金制度も含め福利厚生や各種手当の充実を図っております。職員の方が安心して長く働くことが出来る環境を意識して設定しています」とおっしゃっていました。

Aターンサポートセンターの進藤直樹相談員がにこにこしながら近づいてきます。進藤さんは、いつも有楽町の交通会館にいらっしゃるので、ときどき訪ねてはお話をうかがっています。相談に来た方たちと面談するだけでなくメールのやり取りを通じてきめ細かく対応されています。秋田のテレビ局の営業をされていた方なので、県内企業のことはよくご存じ。

何かなあと思ったら、わたしに会わせたい人がいるそうです。Aターンサポートセンターに昨春に相談しにきた方が、秋田で就職し、この日、その企業の人事担当としてAターンフェアにいらしているというのです。

AターンしてYURIホールディングスの人事担当としてAターンフェアに来られた岩根未来さん

昨年9月に由利工業に就職して秋田に戻った岩根未来さん。高校時代は東京に憧れ、東京へ進学してそのまま東京でずっと働こうと思っていたそうです。でも短大を出て就職し、秋田を離れて5年ぐらいたったころ、身内の不幸をきっかけに家族のそばに戻りたいと強く思うようになったそうです。それで昨年4月に有楽町交通会館のAターンセンターを訪れ、その後、真剣に実家のある大仙市の近くの求人を探し、由利工業㈱大曲工場の総務部で働き始めました。

実家から通うので住居費はかからないし、家に帰ったら家族がいる。ただ、4年間ペーパードライバーだったので運転だけが心配で、初めて雪道を運転した日は時速20キロで走っていたそうです。笑

今年の春からは本社の経営企画部に配属になり、由利本荘市に転勤になりました。入社半年でまた親元を離れて一人暮らしを始めることになってしまったのですが、実家まで車で1時間なので、東京にいた時に比べたらすぐに会える距離だし、一人暮らし経験も長かったので不安はなかったとのこと。毎週末は実家に帰って家族との時間を楽しんでるそう。

会社は社員を大事にしてくれ、周囲の人たちも優しく温かい人が多いそうです。秋田の人は人に興味を持ってくれると感じるそう。

う~ん、秋田の人ってけっこう新しく来た人に冷たいとか聞くことが多いですが、きょうは「温かい」といってくださる方にすごい頻度で会いました。

また、由利本荘市は海が近いところが気に行っているそうです。内陸で育った岩根さんにとって、すぐ近くに海があるということが衝撃的で、地元に帰ってきて行動範囲が広がり、秋田の良さを再発見できたそうです。

「離れてみて、家族がそばにいることのありがたさ、秋田の人の温かさを改めて知ることができました」と岩根さん。友達の多くはまだ首都圏にいるそうです。彼女が秋田に帰ったというとびっくりする友達が多いのだそう。それぐらい東京に憧れていたのに・・・。でもたまに友達と会って近況報告をすると、前より楽しそうだし活き活きしているねと言われるそうです。自分が本気で頑張りたいと思える居場所を見つけたこと、家族が近くにいる心強さ。それが彼女を輝かせているのだと感じました。

今回のAターンフェアには、たくさんの自治体もブースを出していました。その中で、パッと目に入ったのが、大館市の「はちくん」のTシャツ。前と後ろにイラストが入っていて、なかなかかわいい。モデルは大館市役所の山本健司さん。似合ってる!大館市のタケダスポーツさんと山城スポーツさんで2500円で購入できます。ポロシャツも3000円。ロシアのフィギュアスケートのザギトワ選手の神風で世界に秋田犬のブームが広がり、ぬいぐるみが品不足になったり、大館市はうれしい悲鳴。

大館市の「はちくん」のイラストの入ったTシャツ。後ろ姿がかわいい

Aターンフェアに行くと、秋田にもこんなに企業があるんだ、仕事があるんだと驚きます。ふるさとに戻ろうかな、親のそばで暮らしたいなという秋田出身の方、海や山にすぐ行ける自然が豊かなところで暮らしたいなという人、ちょっとのぞいてみてください!また半年後にやります!それとは別に各自治体のイベントは、都内各地で次々と行われています。「秋田GO!ENアプリ」でチェック!

文・写真:竹内カンナ