いのちを救う医療従事者に届けたい ナガイ白衣工業株式会社

社会貢献性が高く、日々やりがいを感じられる仕事に携わることができる

ナガイ白衣工業株式会社(大仙市)は、1969(昭和44)年、ナガイレーベン株式会社が秋田に白衣製造工場の子会社を設立したのが始まりで、医療用途白衣に特化して約170億円の売上を誇る企業。中国やインドネシア、ベトナムに提携工場を有し、海外販路も積極的に開拓している。「日本固有の文化に根差したものづくりを貫きたい」と語る澤登 一郎代表取締役社長に、事業内容や今後のビジョンを伺った。(取材日2019年11月26日)

インタビュー

秋田で創業して50年、医療用途白衣に特化

― 1969(昭和44)年に、ナガイレーベン株式会社(東証一部上場)の子会社として工場を設立したのが始まりということですが、秋田で創業された経緯を詳しく教えてください。

ここ大仙市は、昔は縫製業で栄えていました。労働集約産業ということもあり、原価低減の目的で秋田が選ばれたようです。秋田県庁とご縁があり、進出にあたり支援を受けました。当時は全体で16人規模だった従業員数も、今ではおかげさまで400人まで拡大し、国内・海外合わせて600万枚の生産量を誇るまでになりました

― 工場がスタートするときに、多用途白衣から医療用途白衣に特化することに舵を切ったそうですね。

当時は、医療に限らず、レストランや理髪店、食品製造向けなど幅広く白衣の製造販売をしていましたが、効率化を図るため、間口を狭めてメディカル市場に特化することになりました。ニッチな市場に針を通すように、参入を決めたのです。

本社外観。ナガイ白衣工業は医療従事者向けの衣服製造を行っている

澤登社長は大学卒業後、アメリカに3年留学し、東京で営業職を経験した

ニーズに柔軟に対応できる技術力

― カタログを見ると、数多くの種類を製造されていることにも驚きますが、資生堂とコラボした白衣などお洒落なデザインにも目を引かれました。

弊社では、量産用商品と高付加価値商品をニーズに応じて生産しています。「白衣」と一口に言っても多様なニーズがあり、例えば、感染症対策として細菌が増殖しない加工を施した白衣や、機械の誤作動防止のため静電気を抑制する白衣、薄い生地でありながら透けない白衣、洗濯コストを下げる白衣などです。「かわいい白衣」という感性も付加価値の一つで、資生堂とのコラボ商品もそうしたニーズから生まれました。また、保険適用外となる美容整形やインプラントを行うクリニックは施設も洗練されているので、そこで着用する白衣も高品質なものを使用したいというニーズもあります。こうしたお客様のニーズに応えるため、東レと共同してテキスタイル(布の生地や柄のこと)の開発を行っています

「本当の女性の美とは何か」を追求した資生堂STA監修「Bright days」シリーズ

― 中国や東南アジアにも提携工場があり、海外にも積極的に販路を開拓されているそうですね。

国内と海外の生産量比率は約半々です。基本的に量産品を海外で製造し、国産の原料のみを使用した高付加価値商品は国内で製造しています。どちらも、注文に応じて素早く対応するクイックレスポンスです。海外の売上は中国と台湾を合わせて約2億円と全体の1%ほどで、今後は台湾と韓国に注力して販路開拓を目指していきます日本固有の文化に根差したものづくりを追求し、より多くのお客様に喜ばれる商品をつくっていきたいと思っています

人・利益・社会に貢献する「ナガイズム」

― 秋田で創業して50年が経ちましたが、今後の展望はありますか?

秋田は少子高齢化で人口が100万人を切っていますが、秋田への恩返しの思いもあり、今後も地元に根付いて、地元雇用を積極的に行っていきたいです。新規高卒者を毎年10名ほど採用しており、大卒も生産管理などの職種で数名採用しています。地元を盛り上げたいと思う若手を積極的に受け入れていきたいですね。

澤登社長にはオンライン取材で応じていただいた

また、弊社では「いのちの力になりたい」という企業理念を掲げており、直接的に「いのち」に働きかけるわけではないですが、事業を通して間接的に応援していることに、より多くの人に共感してもらえたらと思っています。事業に共感してくれる人の輪を大切にし、利益を出して企業として永続的な活動をし、さらに、社会に必要とされる存在になろうという弊社の考え方を「ナガイズム」と言っているのですが、社員一人ひとりが人間としての考え方をしっかりと持ち、人・利益・社会に貢献していきたいです

アイロンがけの様子。社内独自の検定制度は国家資格に匹敵するレベルで、今年は自主的に25名の社員が受験をした

― 労働集約産業ということですが、生産性向上のために努力していることはありますか。

生産性向上は原価低減のためにも今後の経営課題となっています。そのために、①生産管理IT化によるさらなる生産性向上②原材料の有効活用(省資源化)、最後に、③製品に付加価値をつけることを意識しています。

― 最後に、若者に向けてメッセージをお願いします!

病院など医療機関に行けば、自身が製造に携わった商品を間近で見ることができます。人気シリーズの『ドクターX~外科医・大門未知子~』でも、ドラマの中で弊社商品が使用されており、エンドロールにも社名が出てきます。社会貢献性が高く、それが実感できやすい仕事なので、やりがいを日々感じられると思います。また、社内独自の検定制度を設けており、白衣一着を自分でゼロから作れるようになります。時代が多品種少量生産に向かう中で、様々な工程に幅広く対応していけるような多能工人材を育成していきたいと思っています。

海外でより責任のある仕事を任される人材になりたい(若手インタビュー)

ここからは若手社員のインタビューということで、品質管理のお仕事をする伊藤大介さん(33)にインタビューしました。

伊藤さんは、入社7年目。神奈川大学理学部卒業。3年前に結婚し、1児の父親

― 入社のきっかけは何でしたか?

入社する前は、東京で派遣の仕事をしていたのですが、26歳のときに親が病気で倒れたのをきっかけに、地元に戻りました。実家から徒歩5分のところに会社があったので存在は知っていましたし、大学で白衣を着て研究を行っていたので親近感を覚えたというのもあり、ハローワークからの紹介で面接会に参加しました。中学・高校のときに海外に行き、「いつか海外で働きたいな」という思いがあって、海外に生産拠点を構えている当社であれば叶うかもしれないと、大曲工場での欠員募集枠に応募したところ、海外勤務や将来工場管理をしてほしいということで採用となりました

― 入社後はどのようなお仕事を経験しましたか?

入社後半年はカッティングセンターで技術研修を受け、その後、南外工場に配属されてOJTを通して製造のイロハを学びました。頑張りを評価され、インドネシアに行くことが決まり、品質管理の仕事に携わりました。インドネシアで働く人は明るく真面目な人が多いのですが、中には楽をしたい人もいるので、目を光らせていないといけなかったですね(笑)。年間150万着製造している工場で、製造量の調整や技術指導も行っていました

インドネシア協力工場内の様子

それから、日本に戻り、製造部の部長アシスタントを経て、現在はソーイングセンターで品質管理の仕事をしています。ソーイングセンターは竣工したばかりで、スウェーデンの最新機械がある工場です。また、国内および業界初の導入となる、完全分業により縫製する近代化システム「イートンシステム」で、生産性向上とコスト削減を実現しています。そこで私は、各班の班長や技術者との橋渡しや、システムを用いた進捗管理、モニター管理などをしています。

ソーイングセンターではスウェーデンの最新機械が稼働している

イートンシステム。完全自動の部分と人間が携わる部分のバランスを大切にしている

― 仕事のやりがいは何でしょうか?

厳しい縫製マニュアルや決まりがあり、それをクリアした製品のみお客様の手に届きます。入社して以来、品質第一で仕事に取り組んでいて、納期やノルマを達成したときはとても大きなやりがいを感じますね頑張ればチャンスを与えてくれる会社ですし、社内独自の検定制度や教育体制があり、安心して仕事に取り組むことができます

― 今後の夢はありますか?

海外の生産拠点で、もっと責任のある仕事を任されるような人材になりたいです。また、国内と海外の両方にまたがる事業にも携われるようになりたいと思っています。

― 会社の魅力はどのようなところですか?

縫製工場がメインとなりますが、他社では導入していない新しいシステムを採用したり、自動機の共同開発を行ったり、先進的な取り組みをしているところですね。積極的にチャレンジする姿勢が強みだと思います

― 最後に、秋田で働く魅力を教えてください!

秋田は空気が綺麗で食べ物も美味しく、騒音や満員電車もないですし、子育てのサポートも充実しています。車通勤で自分の時間を持てますし、東京よりも四季の移り変わりを実感でき、何かに追われることなく、いい意味でゆったりとした時間を過ごすことができるところが魅力です

最後に編集部も一緒に集合写真

編集長・みのりの一言コメント

医療従事者が着用する白衣の製造に携わることで、患者を救う一助になれていると実感でき、さらには、国内・海外に幅広く製品を出荷していたり、人気ドラマでも使用されたりするなど、社会貢献性が高くやりがいも大いに感じられる仕事だと思いました!

会社概要

会社名 ナガイ白衣工業株式会社
代表取締役社長 澤登 一郎
設立年月日 1969(昭和44)年8月20日
本社所在地 秋田県大仙市神宮寺字内大坪67番地
その他 ◎自社製造拠点
・カッティングセンター(大仙市神宮寺)
・ソーイングセンター(大仙市神宮寺)
・南外工場(大仙市南外)
・ホワイトエース(仙北郡美郷町)
◎物流センター(大仙市神宮寺)
◎第2物流センター(大仙市佐野町)
◎西日本物流センター(広島県東広島市)
◎協力工場(国内11)
◎海外提携工場(インドネシア、中国、ベトナム)
従業員数  412人
平均年齢  43.2歳(男性40.4歳、女性44.0歳)
平均勤続年数  13.9年
業種 繊維業
事業内容 白衣類の製造及び製品の委託出荷
若手社員が所属する職種 ・製造職
国内生産・海外生産の管理者
未経験からでも採用しています
入社後の研修 あり
賞与 あり(年2回)
昇給 あり(年1回)
勤務時間 8:20~17:10(休憩時間70分)
福利厚生 社会保険完備、退職年金、他に育児・介護休業制度など
ホームページ https://www.nagaihakui.com/
企業PR 東京にある親会社のナガイレーベン㈱は、白衣業界のリーディングカンパニーとして、
平成16年8月東京証券取引所第1部に上場いたしました。当社は、その製造及び物流部門として発展しております。

本社所在地

 

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文:渡部 みのり
写真:竹内 カンナ、渡部 みのり、県職員の方