「ものづくり」の楽しさを味わえる会社
秋田県大仙市郊外に工場を構えるプラスチック成形・加工業の株式会社セーコン様を訪問し、鈴木浩子社長にお話をうかがいました。
同社は、生分解する花火の「玉皮」を開発、経済産業省の第1回「ものづくり日本大賞」優秀賞を受賞したことがあります。まだ世の中に存在しないものを新たに創造する「ものづくり」に取り組める会社です!
インタビュー
設立経緯と事業内容
― どのような製品を作っているのですか?
金型の設計・製作、プラスチック成形(射出)、組立、加工までを自社内で一貫して行っています。また独自にブレンドしたペレット材や再生材を利用した製品開発にも力を入れています。
― 第1回ものづくり日本大賞を受賞されたそうですが、どのような製品ですか?
小松煙火工業、秋田県産業技術センターと共同で、微生物の働きによって分解され自然に戻る生分解性樹脂を使って打ち上げ花火の外側の皮(玉皮)を作りました。花火は通常紙製の玉皮に火薬を詰めて製作されます。打ち上げの後は破片が地上に散乱して回収が大変なのです。そうしたことから環境にやさしい花火を作ろうということで開発を始めました。
― なぜ秋田に工場をつくられたのですか?
父が秋田工場の近くの生まれなのです。昭和47(1972)年に会社を設立、横浜市鶴見に10坪程度の工場を借り、大手カメラメーカーの部品などを作り始めました。しかし大気汚染がひどかったため、「じゃあ秋田に行こう」ということになり昭和57年に秋田工場を建設しました。鶴見では首都圏のお客様への営業や総務・経理業務を行っています。
創業者が今も新製品開発の先頭に
― お父様は社長業を退かれたわけですが、まだお仕事はされているのですか?
父は、モノづくりの面では今も現役バリバリです。やはり自分の設立した会社なので、技術面では今も信念を持って先頭に立ってやっています。
同業種間の連携は活発
― 秋田工場の周りには製造業はなさそうですが、新しい技術から取り残される懸念はありませんか?
わたしは今、月に1回、東京で、材料メーカーや射出業の方が集まるの勉強会に参加して業界で何が起きているかを勉強したり、業界的な悩みとか日本経済について意見を交換しています。秋田の研究会にも参加させていただいています。秋田県の高分子材料研究会は、父が県の産業技術センターと一緒に作った研究会です。
産学連携で製品開発
― 秋田大学との連携もあるということですね
県の産業技術センターから声を掛けていただきました。産業技術センターは困っている企業の話を聞いて、それを解決できる企業に依頼するといったことを行っています。製品化できた製品もあります。
― 秋田で製造業はどのように連携しているのですか?
大仙市の地域協議会工業部会には、お酒もプラスチックも、金属も含まれるんですが、会合に行くと、お酒を飲みながら、製造業の活発化がよく話題になって、「みんなで何か作ろう!」、「なら秋田県っぽいものを作ろうじゃないか」などと話が盛り上がります。皆さん、とても面白いアイデアを持っています。
電力の一部は太陽光発電で
― 太陽光発電で工場の電力を賄っておられますね
平成24年から始めました。でも冬は雪が降り、太陽光パネルの上に雪が積もってしまいます。そのため角度を変えられる架台も独自に作りました。
― 冬は曇っていて発電できないんじゃないですか?
期待以上に発電しています。日照時間が少なくても発電は可能です。5~6月は日中、ほぼ太陽光だけで電力を賄えます。土日は余るので東北電力に買ってもらいます。年平均で6割程度は自給できています。
― 御社の工場はあまり工場らしくありませんね
父の考えです。工場が営業マンの役割を担っていると考え、来ていただいたお客様に「ここなら安心して仕事を任せられる」と思っていただき、また来てみたいと思ってもらえるような場所にしたいと思っています。
残業はほぼゼロ
― 秋田工場の社員は、何人くらいですか?
現在、42人です。男性が18人で女性が24人です。
― 就業時間はどうなっていますか?
朝8時から夕方5時です。若干季節性もありますが、だいたい平準化できます。ただ人間が休んでいる間も機械は動いていることがあります。週末にできた製品がたまってしまうので、それを整理しに週末に2時間ぐらい作業することは、たまにあります。
― 工場から近いところに住んでいる社員が多いのですか?
いちばん遠い人でも車で30分ぐらいです。
仕事内容
― どのような資格が必要ですか?
プラスチックの射出成型技能士という資格があります。これを取ってもらうようにしています。うちには一級取得者が4人います。一級があると工場もひととおり管理ができるぐらいの知識と技術を持っています。女性にも一人1級を取得した人がいます。
育児休暇をもっと取ってほしい
― 女性が結婚したり子供を持ったりしても続けられますか?
大歓迎です。わたし自身が家庭第一なので。運動会とかPTAも優先してもらっています。男性にも育児休暇を取ってもらいたいのですが、取得者が少なく残念です。もっと積極的に育児に参加して欲しいです。
採用について
― 採用はどのようにされているのですか?
ここ数年は若い子を育てたいと思って高校の新卒を採用したんですが、今は中途採用に力を入れています。製造業以外からも来ています。
― Iターンの人は難しいですか?
大仙市の地域おこし協力隊の方が、移住促進のため住宅の空き物件マッチングをしたりしています。行政と民間が協力して、全く秋田に住んだことがない人が移住して来るという例が出てきています。
― 社員の勤続年数はどのくらいですか?
いる人だけで計算すれば20年ぐらいだと思います。
― どういう人材を求めていますか?
チームワークが大事です。出荷するまで、次の人が楽できるように工夫して次に回すということを延々と繰り返さなければならなりません。そういう気持ちが大切です。当社では、可能性に向かって動ける人や繋がりを大切にできる人、独自性よりも協調性を大切にできる人が活躍しています。また、秋田をこよなく愛している人も大歓迎です。
社長のビジョンとメッセージ
― どのような会社にしていきたいと思っていますか?
当社はものづくりの会社なので、今の世の中にないものを作ることに積極的に参加していくことで、自分も嬉しいし、製品を手に取った人も嬉しい、会社も嬉しいという状態を作りたいと思います。そして、秋田県で社員がいちばん幸せな会社にしたいと思っています。
― これから就職する若者にメッセージをお願いします
若者には自分がこれで幸せになるんだというものを見つけて、それを実現してほしいと思っています。
― ありがとうございました!
記者・竹内の一言
午後5時の終業とともに社員は車でさっと帰宅。女性が過半数を占めており、育児や家事をこなしながら無理なく働ける職場のようです。
会社概要
会社名 | 株式会社セーコン |
代表取締役 | 鈴木 浩子 |
設立年 | 昭和47(1972)年 |
本社所在地 | 秋田県大仙市神宮寺字八石高野90-1 |
お問い合わせ | 0187-72-2830 |
役員
従業員数 |
3人(男性1人、女性2人)
42人(男性18人、女性24人) |
業種 | プラスチック製品成形加工・金型製作 |
若手社員が所属する職種 | ・成形工(射出成形機を用いてプラスチック製品を製造する) ・検査工(製品検査、在庫・出荷業務管理等を含む) ・金型従事者(射出成形用金型の設計、製作~CAD・CAM、マシニング等設備の工作機械操作含む) ※機械高技能工に関しては、N旋盤、マシニングセンター等加工業務経験者 |
ホームページ | http://www.sekon.jp |
認定 | ・第1回ものづくり日本大賞優秀賞(2005年) ・元気のある中小企業300社(2007年) ・文部科学大臣発明奨励賞(2007年) ・秋田県技術高度化技術支援事業(2012年) |
企業PR | 豊かで美しい地球環境を次世代に残していくため「ヒトにやさしい」「環境にやさしい」「製品にやさしい」をモットーに、心をこめたものづくりを目指しています。 |
セーコン秋田工場地図
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