秋田県羽後町にある小野建設は「土木」「建築」「解体工事」をメインとする建設会社です。
地域交流も積極的に行っている地域密着型企業である小野建設は、毎年「西馬音内(にしもない)盆踊り」や「ゆきとぴあ七曲り」といった地域イベントにも積極的に協力しています。また、災害が襲ったときには真っ先に駆けつけて復旧活動にあたるなど、1959年の創業以来、羽後町と共に歩んできた会社です。
「羽後町を守りたい!」という取締役副社長 小野人平さんの意志が、強く伝わる取材となりました。
建設業者ランクAの実績
小野建設は、取得が難しいとされるA級ランクを秋田県から取得しています。A級は工事をした金額や資格者が一定以上でなければ取得することはできません。小野建設ではプロフェッショナルな技術を持ち合わせた社員が多く、総合評価が高い会社といえるでしょう。
同社は上司と部下の距離が非常に近く、部下が提案しやすい職場づくりがなされています。そのような環境が整備されていることもA級ランクを裏付けています。
初挑戦の「地域ベンチャー留学」
2018年には、NPO法人ETHIC.が運営する「地域ベンチャー留学」というプログラムを初めて活用しました。地域ベンチャー留学とは、日本全国の挑戦を続ける地域企業やNPOでの新規事業や商品開発に携わる実践型のインターンシッププログラムのことです。
受け入れたのは、都内の4年制大学に通う女子大生です。【若者が入社したくなるような会社案内(パンフレット)の作成】をミッションに掲げ、現場や事務所の皆さんと協力し合いながら、素敵な会社案内を作成しました。
インターンシップ生が作成したパンフレットの効果は絶大。「学校やAターン向けの説明会に参加しやすくなった」と小野さんは笑顔で語ります。
また同社では、最新情報を知ることができる公式ラインを開設するなど、若者世代へのアプローチを強く意識しているようでした。
人手不足に一筋の光
平均年齢は48.3歳。ほとんどが地元出身者です。社員は50名でそのうち46名が男性。4名が女性で、事務職として働いています。
同社は最近、新入社員が入社しても長続きせず、人手不足に悩まされています。また、募集をかけても応募者が少なく社員が増えない状況が続いています。このままでは同社が続けてきた地域交流や災害復旧活動などができなくなる恐れがあります。
入社して間もなく辞めた社員に理由を尋ねると、「年配の社員とのコミュニケーションがとれない」、「休みが少ない」といった答えが返ってきました。
「辞める原因は、若い人にあるのではなく、コミュニケーション能力が不足している会社にあるのではないか」。そう考えた小野さんは、2019年に新たな挑戦をすることにしました。
外国人研修生が現場入り
小野建設では、2019年の9月からフィリピン人4名を受け入れることが決まっています。彼らは職業訓練を受けて、通訳などの支援なしで小野建設の現場に立ちます。つまりは、社員とフィリピン人との直接的なやりとりが必要となるのです。
外国人労働者を雇うことにより、人手不足の解消が見込まれます。さらには、外国人とともに現場で働くことで社員のコミュニケーション能力の向上にもつながれば・・・という思いがあるそうです。
未経験者や若手社員を受け入れる心構えが私たちには必要だと思っています(小野さん)
文化も言葉も異なる人たちを受け入れることには不安もありますが、外国人を受け入れることができたら日本の若い人たちとも積極的にやりとりができるんじゃないかと小野さんは期待しているのです。
秋田のじっちゃんたちは外国人を受け入れることができるのか。それが小野建設の挑戦です。
求める人材
「明るい人が欲しいですね。自分から声をかけてくれる人がいい」と小野さん。
建設業は未経験でも働けますが、現場では「専門用語」が飛び交います。何のことか分からず聞かなきゃいけない場面が必ずでてきます。技術を知っていることよりも、話しかけたり尋ねたりできる積極性を重視しているようでした。
現場では常に「学ぶ姿勢」が大切になってきます。(小野さん)
取材を終えて:
秋田県羽後町という小さなまちにある小野建設。そこには、前例がないことに挑戦し続ける姿勢がありました。2019年、外国人研修生を受け入れることで、どのような化学反応が起きるのか楽しみで仕方がないです。
◆小野建設の公式ホームページはこちら
秋田県就活情報サイト KocchAke!
Kocchakeは、秋田県内企業の就活情報が満載のサイトです。
取材・文:じゃんご https://dochaku.com/
写真:渡部みのり