【寄稿】ロカとも友の会(後編)羽後町・八峰町・潟上市・能代市

地域の名産をネコポスやクリックポスト便、宅配便で参加者に送り、それぞれの家でパソコンやスマホの前でわいわいやりながら地域の特産品を一緒に飲み食いする紹介制オンラインイベント「ロカとも」。

前編では、この活動に取り組む「チームババヘラ」菅野 秀和さんに、ロカともが始まった経緯や理念、秋田県外で開催された(といってもオンラインなので場所という概念はないですが)事例を紹介していただきました。

後編は、やはりチームババヘラの小松 由さんと白井 圭さんのふるさとである秋田県で開催された事例を、白井さんから紹介していただきます。

では、白井さんお願いします!

■「ロカとも」と「チームババヘラ」

前編の菅野さんの寄稿にもありましたが、私たちチームババヘラが「かだる人口」を増やすために、これまで取り組んできたことが「ロカとも」のベースとなっています。チームババヘラでは「オープンマインド」「コラボレーション」「自分ゴト化」の3つの価値観を大切にしています。

この価値観を反映して、「ロカとも」は、安心して心を開ける(オープンマインドな)場を作れるように紹介制にし、参加者同士が繋がることでコラボレーションが生まれ、ゲストが抱える課題を自分ゴト化して捉えて解決のためのアイデア提供をすることを目標にしました。

ロカともの運営に当たっては、これまで小松さんや私が本業で培ってきた研修設計や登壇・運営経験が非常に役立ちました。そして、新型コロナウィルスの感染拡大・緊急事態宣言発出といった未曾有の事態に直面し、本業でも集合研修を急きょZoomでのオンライン研修に移行しなければなりませんでしたが、そうした経験によって得たノウハウも「ロカとも」に反映することができました。

参加者には常連の方もいれば初めての方もいます。よく知らないメンバー同士が仲良くなってもらうためにどうすればよいか。そのきっかけになるように導入部分には毎回、紹介者が参加者を紹介する「他己紹介」の時間を設けています。ここで参加者がどんな方なのかを少しだけ把握していただきます。そして、後半のグループワークで1つのテーマについて話し合うことでイベント終了時にはオンラインであるにもかかわらず実際にひとつの場所に集まったかのような親密な笑顔溢れる空間になっています。

また、Zoomには、オンライン研修やイベントを盛り上げられる「チャット機能」があります。「ロカとも」では、「チャット賑やかし役」という盛り上げ役の2人を中心に、大事なところは要点として投稿しつつ、ゲストや参加者も思ったことを投稿し、まさに大喜利のようなやり取りが繰り広げられるのも楽しみの一つです。チャットは保存ができるので、ゲストをはじめ参加者の皆さまにお土産としてお持ち帰りいただいています。

秋田県での開催実績紹介

では、秋田県内の自治体や企業とコラボして行ったロカともの実施例を一つずつご紹介していきます。

テーマ1:羽後町を事例とした地域魅力発信とコロナ禍におけるコミュニケーション

ロカともvol.1@秋田県羽後町

◆ゲスト:NPOみらいの学校 佐藤 マサカズさん

緊急事態宣言が解除された日に初回のロカともが開催されました。羽後町役場職員にしてNPO法人「みらいの学校」事務局を務める佐藤 マサカズさんから羽後町とおともの紹介をしていただきました。また、村岡 悠司さんからは4月にオープンしたばかりのyado&kissaUGOHUBをご紹介いただきました。

■佐藤マサカズさんのコメント

初めての事ばかりで、開催までは少しドキドキしていました!

ですが、運営の皆さんと“密”に打合せをして、大成功の予感しかしていなかったのを思い出します。

ロカともの良いところは、なんと言っても紹介制であるコミュニティであるところ。なかなか話したこともない、会ったこともない方と画面上だけでお話するのは、雰囲気がつかめないだけにもどかしい感じになります。

しかし、ロカともでは、誰か知っている人のお知り合いという結婚式の二次会のような、社交パーティーのような(行った事ありませんが)気軽さ、安心さで同じ「つまみ」、同じ話題を共有できるので、リアルイベントより効果的な印象があります。

これからもロカともの初開催の地として後世に伝わるよう精進して参りたい次第でございます!

@高橋朋子

テーマ2:しいたけの可能性の発掘

vol.2@秋田県八峰町

◆ゲスト:Norte Carta菅原 美里さん

しいたけの魅力とことん追求スペシャル」と題してお送りしました。秋田県は生しいたけの生産量全国4位消費量全国1位という隠れた「しいたけ王国」。規格外のしいたけに新たな命を吹き込み、開発されたしいたけタプナードバーニャカウダの開発エピソードを菅原さんお話いただきました。

おともはNorte Cartaさんのしいたけタプナードとしいたけバーニャカウダ、クラッカーをお届けしました。

参加者のみなさんとは、しいたけ愛をとことん語る回となりました。

■菅原 美里さんコメント

「チームババヘラ」の方々が打ち合わせの前に商品について予習してくださったおかげで、当日もスムーズに進みました。

オンラインイベントは初めてでしたが、大勢の方が初対面なのに画面上で打ち解けあえているのが不思議でした。これこそが運営の方々を通じた紹介制コミュニティの強みかなと感じました。

みんなで同じものを食べながらしいたけについて語り合うなんてリアルじゃないとできないと思っていましたが、むしろオンラインで自宅から参加することで緊張感がほどけ皆さんとの距離が近しく感じる面もあり、とても温かく接していただけたのが嬉しかったです。

テーマ3:佃煮の消費量向上のためのアイデア

vol.7@秋田県潟上市

◆ゲスト:smeltさん

(佐藤食品 佐藤 賢一さん・菅英佃煮本舗 菅原 英信さん・千田佐市商店 千田 浩太さん)

潟上市の佃煮屋若手3人衆「smelt(スメルト)」さんをゲストにお招きして、「龍が住む伝説の湖 八郎潟」のほとりで採れる宝石スペシャル!」と題してお送りしました。smelt代表の佐藤賢一さんから佃煮の歴史・八郎潟についてお話しいただいた後、グループワークでは、「佃煮の消費量をもっと増やすには?」をテーマに、「わかさぎ釣りと佃煮作り体験」や「佃煮カスタマイズ」、ラーメンの味変など様々なアイデアが出ました。

おともは新感覚佃煮3種食べ比べセット「辛いジャン」「わかさぎの佃煮」「新物わかさぎの唐揚げ」をお送りしました。

■smelt代表 佐藤 賢一さんコメント

「ロカとも」に参加して感じたことは、仕事や住む地域の違う方に自分達の商品を知ってもらい、意見を頂ける楽しさです。様々な視点・価値観から意見を頂ける、あっという間の楽しい2時間でした。ありがとうございます!Zoomで商品や事業の紹介をするのは初めてでしたが、「チームババヘラ」の皆さんの事前バックアップと、イベントを裏で盛り上げている「チャット賑やかし役」を中心とした膨大なチャットが、ロカともの魅力を引き上げていると思います。

テーマ4:クラウドファンディングの返礼品のアイデア出し

vol.9@秋田県能代市

◆ゲスト:「ミナトファニチャー」湊 哲一さん・「木能実」高浜 遼平さん

注文家具屋「ミナトファニチャー」の経営だけでなく、能代の地域資源の魅力発掘の活動をされている湊さんと能代市にあるドライフルーツとナッツのお店「木能実」の高浜さんをゲストにお招きして、「木都能代市からお送りする木の魅力をとことん発信」スペシャル〜杉にまつわるおともとともに〜」と題してお送りしました。

最初に高浜さんから、木能実の店名の由来(都(もくと)代の木の屋さん)とおともをご紹介いただきました。そして、スペシャルなおともとしてお送りしたのが「秋田杉の粉」で、「おがくず見ていたら食べれるんじゃないのか」という思いから杉を細かい粉にし、食べてみたエピソードをご紹介いただきました。後半は湊さんが取り組まれていること、「木都能代の今と昔」をお話しいただきました。

@高橋朋子

@高橋朋子

@高橋朋子

■湊 哲一さんコメント

「ロカとも」が始まるや、運営の皆さんや参加者さんのほんわかした雰囲気がとても居心地がよく、仲の良い友達と家飲みしてる感がありました。

これは多分、紹介制コミュニティだからこそなのでしょう。

ほぼ無理矢理に杉の粉を食べさせ、能代の紹介をガンガンしてしまったのでちょっと申し訳ない気持ちもあります。

でもこの流れで是非参加者さんは能代に遊びに来てください。ものすごい満喫ツアーをご用意しますので!

他の地域のことも知りたいので、今後とも「ロカとも」に関わっていきたいと思います。

今回は貴重な機会をありがとうございました。

■高浜 遼平さんコメント

はじめてのZoom参加イベントが「ロカとも」でした。

いゃー、始まるまでは緊張しました。でも始まってしまったらなんのその!普段通り、楽しい時間を過ごさせていただきました。

木能実の説明やおともに送らせていただいた5種類+1種の商品も好評で嬉しかったです。すぐに、何人かの参加者さんから注文もいただきました!

秋田には、まだまだたくさんの知られていない素晴らしい食材が眠っているので、足を運んで色々な農家さんと関係を築いていきたいと思っています。

貴重な経験になりました!次は、参加者としても!

ありがとうございました。

ロカとも友の会(後編)のまとめ

白井 圭さん

後編は「秋田県」で開催した事例をご紹介しました。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、2月以降にチームババヘラで予定していた現地ツアーやイベントの開催は全て見送りとなりました。自粛やSTAY HOMEの動きの中で「コロナ禍だからできない」ではなく「コロナ禍だからこそできること」を模索した中で始めたのが「ロカとも」でした。そして、昨年1年間チームババヘラで取り組んできたこと大切にしてきた価値観が「ロカとも」のベースとなりました。

秋田へ行くことがかなわない中「ロカとも」を開催したことで、秋田県の関係人口の創出がオンラインでもできたこと、秋田県を中心に全国の生産者さんや事業者さんと繋がりを持てたことは私にとって大きな収穫でした。

今はオンラインでの開催ですが、いつか現地ツアーを企画し、ゲストと「ロカとも友の会」のメンバーがリアルで交流いただける場を実現できたらと思います。

* * * * * *

小松 由さん

「ロカとも」のきっかけは、対話から生まれた「コロナ禍でも秋田のために何ができるか」という問いでした。元々、秋田県の関係人口「かだる人口」を増やすプロジェクトとして、チームババヘラではリアルイベントや視察ツアーを行なってきましたが、秋田県に直接行けなくなっても地域とのつながりを五感で感じられる活動に育ってきています。これも共感していただき、楽しみながら参加してくださる皆さんのおかげです。

これからも「ロカとも」から生まれる未来を楽しみながら、地域とのつながり、人と人とのつながりを大切に育んでいきたいと思っています。

また、回を重ねるごとに、対面でしか得られないものもあれば、オンラインだからこそ得られるものもあると日々実感しています。

これからもかだってくれる皆さんと一緒に価値を生み出せるよう対話を重ねていきます。ご興味お持ちくださった皆さん、まずはオンラインでかだりましょう。そして、いつか秋田でかだれる日を心待ちにしています。

■チームババヘラ共同代表 プロフィール

小松 由

秋田県横手市出身。本業は大手人材サービス会社の人事(組織開発担当)として全社のMission,Value推進を行っている。プロボノとして「おむすびとプロジェクト」や「ロカとも」など、複数の関係人口創出プロジェクトに参画しており、

祖母は羽後町に住んでおり、先日白寿を迎えた。

白井 圭

秋田県秋田市出身。本業では大手システムインテグレーターの研修会社で研修の販促、実施の進行管理を担当。これまで培ってきた経験を活かしてプロボノで「おむすびとプロジェクト」や「ロカとも」など、関係人口創出のプロジェクトに参画。12月には秋田市で開催されるStartup Weekend秋田のオーガナイザーとして参画予定。

菅野 秀和

福島県郡山市出身。本業では全国の自治体における人口減少や関係人口創出に関するプロジェクトに携わる。秋田県羽後町ではNPO法人みらいの学校と連携して関係人口の育成や創出に取り組み、大手ビールメーカーとのクロス企画や関係人口創出事業である「おむすびとプロジェクト」などを手掛ける。

■ロカとも問合せ先(チームババヘラ)

Facebook:https://www.facebook.com/teambabahera

Instagram:https://www.instagram.com/teambabahera/

mail:teambabahera@gmail.com

文・画像:白井 圭(チームババヘラ)

グラレコ:高橋 朋子

編集:竹内 カンナ