秋田の山菜料理、佐藤さんごちそうさまでした!

秋田のおいしいもの好きの間で話題になっている東成瀬村出身の佐藤時子さんが東京・立川のカフェの協力を得て開いている秋田の食のイベントにお邪魔させていただきました!

縦長な長方形の形をした秋田県の右下の角にある東成瀬村。時子さんのご実家も山を持っていて、いつもその山に入って山菜を採るのですが、今年は4月にも雪が降ったりで道路に木が倒れていて山に入るのは断念。今回の「ごっつぉっこ」の材料は、山から持ち帰って家の近くの畑に植えてあったものや十文字の道の駅などから調達、それをご自身で東京に持ち帰ったものです。

十文字駅にはエスカレーターもエレベーターもないので、その大荷物を必死の思いで運び上げたそう。持ち帰った食材を、帰った翌日に朝から仕込んでふるまってくださいました。これがまた信じられないお値段。時子さんの労力はまったく計算に入っていません!!超お得なので、秘密にしておきたいぐらいですが、時子さんは、もっと多くの人に知ってもらいたいとお客さんが増えるのを喜んでいらっしゃるので、この貴重な「ごっつぉっこ」の会を紹介させていただこうと思います。

前菜

まずは前菜です。8種もありました!

いちばん手前が①こしあぶらの天ぷら。

その右が②ホンナのおひたし、キク科で、さわやかな香りはまさに春の賜物。

その上が海藻のゼリーみたいな③えごの酢味噌あえと④豆腐カステラ。豆腐と砂糖、卵などを混ぜ、型に入れて焼いたものだそうです。

その左のガラスの小鉢に入ったのが⑤ギバサ新玉ねぎのポン酢。ギバサは、地方によってはアカモクという名前で呼ばれている海藻で、形がわからないほど細かく刻んだものです。「フコイダン」という植物繊維の一種が入っておりすごいネバネバで美容にも健康にもいいのです。

その下が⑥秋田ふきのうま煮。ふきの苦みと香りは、毎年春になると思い出す味です。

次が⑦ふくたちのコチュジャンみそ風味。ふくたちというのは秋田県内、それも県南でしか流通しないので「幻の冬野菜」とも呼ばれています。春に白菜を「とう立ち」させたもので、とても甘く白菜とは思えない風味になるのだそうです。

⑧鶏むね肉のソテーの桃太郎トマトケチャップ煮。このケチャップは農林水産大臣賞を受賞したなるせ加工研究会の商品です。ふるさと納税の返礼品でも人気らしい。ケチャップというより、もうこれはパスタソースで、他の味付けなしでりっぱな一品になるそうです。

あえ物

次は、あえ物3種。左から①山うどのきんぴら。山うどをきんぴらで食べたのは初めて。香りがすばらしかった。

②塩わらびの黒ゴママヨネーズあえ。わらびは例年この時期、ご実家の山に入って採って来るのですが、今年は雪が多かったのでまだ山に入れず、塩漬けわらびを使ったそうです。昨年のものなのですが、戻し方やゆで方がお上手なので、言われなければわかりませんでした。

あぶらこごみの山胡桃あえ、あぶらこごみは、赤こごみとも呼ばれ、姿はこごみに似ていますが生える場所は全然異なり、あまりたくさんは採れないそうです。ある山菜のウェブサイトでは、「あまりにおいしいので生える場所は人に教えたくない」と書いていました。時子さんはさりげなく出してくださいましたが、そんなに貴重なものだったんですね。前の晩に佐藤さんがご両親と一緒に一つひとつ殻を割って実を穿り出した胡桃の入ったソースとよく合っていました。

だまこ汁

次はだまこ汁。たっぷりと入った三関のせりは、例年なら5月にはもう販売していないのですが、今年は十文字の道の駅でまだ売っていたそうです。ネギも秋田産で、東京で売っているものよろいずっとやわらかく甘くとろっとして香りがいい! スープは浅利佐助商店の比内地鶏スープ。味がしみていておいしかったので、鶏の皮が苦手な私も全部食べてしまいました。

デザート

最後のデザートも秋田のお菓子3種の盛り合わせ。バター餅は県北が発祥といわれるバターと砂糖を混ぜてついたふわふわのお餅。もろこしは小豆とお砂糖を固めたお菓子。もろこしの名前の由来は諸説ありますが、時子さんは、「もろもろの物を超越したおいしいお菓子」という意味だろうと思っているそうです。東成瀬村のお菓子として有名なあずきでっちは初めていただきました。小豆ともち米をそれぞれ炊いて、すりこぎでついて混ぜるのですが、絶妙の混ざり具合で、いくらでも食べられそうでした。「でっち」というのは、すりこぎでつくときにデッチデッチと音がするのでそういう名前になったのだそう。

上があずきでっち、左手前がバター餅、右がなまはげもろこし

「食」をテーマに交流

時子さんは、このイベントを4年前から立川のほっこりかふぇで春夏秋冬に1回ずつ開催してきましたが、来た人が知り合いを連れてきたり、噂を聞いて参加したいと言ってくる人が増え、前回の冬バージョンから各季節に2回ずつ開催することにしました。

時子さんは、「秋田の人にとっては『当たり前』なものが、実はそうではない、貴重なもの、価値のあるものなんだと気づいてほしい」とずっと思っていました。そうした思いはふるさとを出て都会に暮らすものだからこそ感じること、伝えられることだと思い、ご自分のお好きな「食」をテーマにして、人・もの・文化の交流をはかろうと考え、このお食事会を始めることにしたそうです。

「小さな一歩ですが、出遭えた皆さんに、ほっとできる何かを感じていただけたら幸いです。集い、語り、安らぐことができる空間づくりを目指して続けていきたいと思っています」とおっしゃっていました。

マルシェも

お食事会だけでなく、首都圏各地で行われるマルシェなどにも「ご縁があればGo!」の主義で、できる限り参加したいとお考えだそうです。

今回も、仕入れてきた秋田の食材を、「え?この値段でいいんですか?」というような値段で分けてくださいました。

いぶりがっこもいろいろありますが、これは時子さんの家のそばで作っていてお気に入りだそうです。えごまは時子さんの家の畑で栽培しました。商品にするのがとても手間なのだそうです

わたしは、桃太郎ケチャップ、こごみ、比内地鶏スープなどをゲット。それに時子さんがいろいろ試してみて一番おいしいとおっしゃる植田のこうじやの麹を買いました。実は麹を買ったのは人生で2回目。使いこなせるか自信がありませんが、1キロあるので甘酒や塩こうじなどいろいろ作ってみます!

実は秋田にいる時、わらびやぜんまいぐらいしか山菜を食べたことがなかった私ですが、これから時子さんの季節ごとのお食事会に参加させていただくのが楽しみになりました。

時子さんの思いを実現に導いてくれたほっこりかふぇも地方の食材に注目し、ビーガンのにんじんケーキを出していらっしゃるなど素敵なお店でした!

佐藤さんの「ごつぉっこ」に参加したい人、お手伝いしたい人、佐藤さんにご連絡ください!

■佐藤さんの Facebook

■ 佐藤さんのメールアドレス:tokizee9024@gmail.com

■ 東成瀬村って環境省から「美しい星空日本一」に選ばれたり、「日本で最も美しい村」連合に加盟したり、とても美しいところのようです。魅力を紹介した動画をご覧ください。

■秋田グリーンツーリズム協議会のサイトには、山菜の種類や食べ方が説明されていました。ご参考まで!

文:竹内カンナ