今、国が中小企業のIT(情報技術)化を推進しようとしています。かなりな力の入れようで、100億円の予算を計上しています。「中小企業デジタル化応援隊事業」という仕組みで、応援隊の隊員のIT絡みのサポートに対して、国から1時間に付き最大3500円の支援が出るので、企業の払う謝礼は1時間わずか500円なのに、隊員がしっかりと報酬を受けられるのです。これは秋田の中小企業や個人事業主が業務をIT化するのにまたとないチャンスだと思います!
町の八百屋さんも宣伝に使えそうなパソコンやスマホの無料サービスがたくさんあるのになぜ使わないのだろうと思ったことありませんか?あるいは近所の食堂でクレジットカードや電子マネーが使えたらポイントが貯まって嬉しいんだけどと思ったことありませんか?
中小企業のIT化を進めるチャンスです!
小さな会社は、便利なITサービスの存在すら知らないことが多いのです。知っていてもどうやって導入を進めたらいいのかが分からない。一方、大きなソフトウエア会社は儲からない上に導入に手間が掛かるめんどうな小さな企業相手のビジネスから目を反らしてきたため中小企業のデジタル化は遅れていました。
でも、実はLINEやGoogleのサービスの中にも中小企業が便利に使える無料あるいは安く使えるサービスはたくさんあり、そばにいる人がちょっと教えてあげたり手助けをしてあげればITが得意じゃない人でも使えるのです。ホームページだって簡単なものなら無料で、しかも難しいコードを書けなくても作れる時代です。
なので、そういうサービスを普段利用している人なら別にITの専門家じゃなくてもデジタル応援隊になって中小企業を助けてあげられます。ITが苦手な中小企業にとっては、相談にのってもらっただけで目からウロコの体験で、知ってしまえば後は簡単だったりするのですが、これまで相談に乗った側には、相談だけで報酬がもらえるという制度はほとんどなかったので、支援する側への恩恵が大きいことがデジタル化応援隊事業の特徴です。
デジタル化応援隊のエバンジェリストとして活躍する一般社団法人「創生する未来」の藤本有希さんによると、この制度は、デジタル化するのにはいい機会なのに残念ながらあまり使われていないのだそうです。たぶん、そんな制度があることを知らない中小企業が多いのです。これはもったいないと思ったので、いろいろ教えてもらいました。
どんな支援が対象になるかを見てみましょう。デジタル応援隊のウェブサイトをみると、テレワーク環境構築や電子契約、RPA・AI導入やキャッシュレス化、セキュリティ強化などが挙げられていますが、藤本さんによれば、美容院の予約やクーポン送付、顧客管理のような業務は、日本人の3分の2が使っているLINEを使って無料で行うこともできるのですが、そうしたことを教えてあげるだけでもいいのだそうです。
またパソコンに入っている表計算ソフトがちょっと使えたら店の経理が楽になるのにと思いながら、なかなか手を付けられずにいる個人事業主も多いと思います。そうした人に簡単な使い方を教えてあげることも支援になり、応援隊が謝礼を受け取れる制度なのです。
たとえばこんなデジタル化
ちょっとITに詳しい程度でも応援隊に
では、どんな人が応援隊になれるのでしょうか?ざっくりというと20歳以上で国内の納税者であればよく、会社ではなく個人でなければならないそうです。サラリーマンで副業・兼業を認められている人やフリーランスの人なども含まれます。国の説明ではIT専門家となっていますが資格は必要ありません!スマホを使うとこんな便利ですよというようなことを説明したり、家のパソコンでやると特別控除が10万円増える国税電子申告・納税システム「e-tax(イータックス)」のやり方を案内するだけでもよいのです。
もっと本格的なECサイトの構築、見積書作成、請求書の作成、入金確認など、事務処理作業の生産性を高めるためのシステムを導入といった本格的な業務ソフト導入コンサルティングもできます。(ただ、ソフトウエアの契約・利用料は別です)
そう言われてみれば・・・と知っている居酒屋の店主の顔を思い浮かべた方、多いのではないでしょうか?
ホームページ作成はXだけど、相談は〇
ちょっと注意が必要で、ホームページなどいわゆるコンテンツの制作やハードウエアなどの購入には使えません。ただ、ホームページを作ってほしいという要望があった場合、どんなホームページが作るべきかなどコンサルティングをして、報酬をもらうことはできます。なので実際のホームページ構築は、ボランティアでやってあげてもまったくのただ働きにはなりません。
企業の負担は軽い
デジタル化応援隊の制度は、中小企業が支払う謝礼が低く抑えられているのが大きな特徴です。中小企業が応援隊に支払うのは1時間=500円でよいのです。しかし、国が1時間=3500円を支払ってくれるので、応援隊の隊員は最低1時間=4000円を受け取ることができます。10時間手伝ってもらっても企業の負担は5000円!上で説明したようにホームページ作成では、実際の構築にはお金が出ませんが、コンサルティングの報酬が入るので、制作については、お互いに納得のいく価格で別に契約を結ぶこともできます。ただ、当然ながら支援する方、受ける方、それぞれに上限があります。
イメージがわきましたか?
申し込んでみよう!
では実際にやってみようと思ったらどうすればいいのでしょうか?
すべてオンラインで完結します。まず、経済産業省のサイトに行きましょう。中小企業は、応援隊に相談したいこういう課題を登録します。一方、IT専門家は、自分はこういうことができるんだということを登録します。
事務局の審査を受けて承認されると、事務局が中小企業と応援隊をマッチングしてくれます。しかし、実は、このマッチングはお見合いみたいなものなので、うまく行かないことが多いので、藤本さんによると、応援隊は自分の身近にある中小企業に持ち掛け、この制度の利用を勧めるのがいいようです。また逆に、中小企業の方から、知り合いでちょっと詳しそうな人に相談するのでもよく、要は支援する人とされる人が顔の見える関係で進めていくやり方がいいそうです。
たぶん来年度も続く
デジタル化応援隊は国の事業で、登録申し込みは1月31日まで、2月末までには支援を終わらせなければなりません。もう遅いじゃないかと思うかもしれませんが、たとえばホームページを作るというプロジェクトだったら、2月末までに事前のアドバイスやコンサルティング(報告も含む)が終わっていればよく、実際のHPの作成はこの事業とは別なので、3月以降になってからHPを作るなどで全然OKだそうです。
デジタル応援隊事業は、スタートが予定より遅れたことや、契約に至るまでのリードタイムがかなり必要なことが分かってきたこともあり、おそらく来年度も継続されると思われるので、まずは登録してみてはどうでしょうか?
詳しくはこちら・・・
この事業、簡単に説明するとこんな感じですが、実際には細かな制約があるので、創生する未来がまとめたプレゼン用資料を全部シェアします。エントリーの仕方も手取り足取り説明してあります。もっと詳しく知りたい場合は、公式手引書をお読みください。令和2年度中小企業デジタル化応援隊 利用についての手引書 <IT専門家向け>
最後に、秋田県関連でデジタル化応援隊事業をご利用したい方は、本文でも触れた一般社団法人創生する未来の専用サイトでの登録をお勧めします。デジタル化応援隊事業関連のご質問や登録のご相談にも対応してもらえます。
文:竹内カンナ