薔薇とみつばちのローズメイのパン屋さんが3月31日午前11時、秋田市にオープンします。現在、Campfireでクラウドファンディングを実施中!
ローズメイは、みつばちからのお福分けであるローヤルゼリーやはちみつ、ジャム、そしてバラを使った基礎化粧品を製造販売している会社です。本社は東京ですが、同社のはちみつは秋田県北部の鹿角市や小坂町の養蜂家が集めた産地が分かる素材ですし、ジャムやスープなどは大仙市太田町にある工場で作られ、商品センターから全国の提携ショップへと送られているのです。オンラインショップの運営もここ、商品研究所もここ。秋田にゆかりの深い会社です。
ローズメイといえば「オレスラ」!国産の完熟ネーブルオレンジをスライスしてはちみつに漬け込んだオレンジスライスジャムです。保存料やペクチンなどの添加物を使わずネーブルもはちみつも産地がわかり生産者の顔の見える素材を使っています。テレビのグルメ情報番組でもよく紹介されている人気商品です。
オレスラジャムは、約10年前、地元情報に詳しい地方紙の社員がオススメするグルメを紹介する47(ヨンナナ)クラブで紹介されたのをきっかけに本格的にネット通販をスタート。大仙市のふるさと納税のお返しにも選ばれています。
食パンで店舗販売にチャレンジ
添加物を使わない食品とバラの香りにこだわった基礎化粧品を通販と提携ショップ、デパートの催事などで販売してきたローズメイ。
しかし、主力商品のジャムやスープと馴染みのいい食品として次のステップに、と考えていたパンの販売に乗り出すに当たり、「生はちみつ食パン専門店 ローズメイ」を秋田市山王にオープンすることにしました。木の香りが漂ってきそうな店舗の建設が進んでおり、3月31日午前11時にオープン。場所は川尻のドジャース食品館の向かいです。
ローズメイ社長の原田青(せい)さんは、秋田に店舗を設ける理由について、「秋田は人口減少ナンバーワン、自殺率もナンバーワン、日本画抱えている課題の先進県などと言われています。だから、秋田が元気になっていけば、日本が元気になると思っています。秋田の人に元気を出して行こう!!という気持ちで秋田から始めようと思いました」と語られました。
原田社長は秋田にはコロナウィルスの感染を懸念して自粛しすぎていて、このままいくとどうなってしまうんだろうと心配になると言っていました。ただ、そうした中でも頑張っている若い人たちがいて、今回の店舗はそうした若い仲間と一緒に作れたことが何よりも嬉しいとおっしゃっていました。
店舗デザインは、北秋田市のコマド意匠設計室の柳原まどかさん、店内はHOLTOの布田信哉さんが手掛けました。また施工は県南の「同志」の藤井工務店の藤井哲也さん。藤井さんは宮大工の技術を持つ職人さんだそうです。木の香りが漂ってきそうなかわいらしい店舗になりました。さらにデジタルマーケティングにはエスツーの須藤晃平さんの力を借りました。原田さんは彼らを「チーム秋田」と呼んでいます。
ローズメイのパン
さて、ローズメイのパン、どんなパンなんでしょうか?
もともとローヤルゼリー・はちみつ屋さんで、保存料などを使用しない自然のおいしさにこだわるローズメイですからパンにもはちみつを使い、低温長時間発酵で生地を熟成、保存料・香料・着色料・乳化剤・イーストフード・マーガリンなどを一切使いません。毎日一斤ずつ手作りだから1日頑張っても500斤が限度だそうです。試行錯誤しながらちみつのおいしさが伝わるようにレシピを工夫しました。
はちみつ食パンは、砂糖の代わりに100%高級アカシアはちみつを使って作り上げました。このはちみつは量が必要なためハンガリー産です。4種類のうち3種類には厳選されたカナダ産最高級小麦を使用しました。とても香りがよいそうです。このパンは生でそのまま食べてほしいとのことでした。
それから甘さ控えめなプレーン食パン。
トーストしジャムを付けて食べるならこれ。やはりカナダ産最高級小麦、隠し味には国産発酵バターなどの乳製品を入れています。たっぷりと水分を含み、シンプルながらも「王道の食パンのおいしさ」を追求。
オリーブオイルやスープにあうパンドミも作りました。
この「ドミ」というのはフランス語で「中身の」という意味で、皮がおいしいバゲット(長い棒のようないわゆるフランスパン)に対し中がおいしいのでそう呼ばれています。このパンは国産小麦100%を使用し、小麦本来のやさしい甘さともっちりとした食感に仕上がっています。健康のためお砂糖を控えている人もおすすめ。トーストするとフランスパンのような食感に早変わりし、生でもトーストしても美味しいそうです。
最後は究極のレーズン食パン。はちみつとラム酒に漬けたレーズンをぎっしり入れ、食事にもおやつにもいける食パン。
パンの添加物問題は奥が深く、無添加をうたっているパンも実は厚生労働省が添加物に分類していない似たようなものを使っているものが多いのですが、ローズメイは材料をすべて公表しています。
◆生はちみつ食パン 1斤580円(税込)
カナダ産小麦粉 アカシヤ蜂蜜 国産発酵バター パン酵母 水
◆ジャムに合うプレーン食パン 1斤420円(税込)
カナダ産小麦粉 国産発酵バター 生クリーム ヨーグルト 練乳 砂糖 パン酵母 水
◆オリーブオイルに合うパンドミ 1斤380円(税込)
国産小麦粉 国産発酵バター パン酵母 モルト 水
◆レーズン食パン 1斤620円(税込)
カナダ産小麦粉 レーズン 蜂蜜 ラム酒 国産発酵バター 生クリーム ヨーグルト 練乳 砂糖 パン酵母 水
材料と手作りにこだわっているのでちょっとお高いけど、どれも食べてみたい。添加物を使わないパンは2、3日すると硬くパサパサになってしまうと言われていますが、原田社長によると、ローズメイのパンはけっこう長くおいしく食べられるそうです。ただ、もっと長くおいしく食べたいなら冷凍すればかなり長く保存できます。
クラウドファンディングの返礼品には、これらのパンのほかはちみつやこだわりのイタリア産オリーブオイル、無添加のスープなどもあります。原田さんによると秋田産のはちみつはトチとニセアカシアの大群生林のある鹿角市や小坂町の養蜂家が採取しており、これほど混じりけのない純粋はちみつは、他にはなかなかないとのことでした。
ローズメイを応援したいが秋田市の店舗までパンを取りに行けない人には冷凍して届けてくれます。
原田さんは、クラウドファンディングで冷凍パンの販売を試験的に行い、10月ぐらいからは本格的に全国へ配送をし始める計画だと語っていました。
ローズメイは今年創業66周年
ローズメイは今年で創業66周年となる老舗です。1955年に東京に「双洋物産株式会社」として誕生、1975年に玉川大学ミツバチ研究所とはちみつ混合濃縮型ローヤルゼリーをR240を開発し、みつばちとともに歩んできました。1991年には画期的な超高濃縮調製ローヤルゼリーR370の開発に成功し、発売を開始、翌1992年にはフランス植物療法の第一人者、末富仁氏の指導でローヤルゼリー基礎化粧品の開発に成功。R2APIS/ラピと命名し、発売を開始しています。
一方、ローズメイのバラの栽培は、創業者である原田光治さんのライフワークだったそうです。1985年から伊豆高原にバラ園を開園、1990年に「ローズメイ」を商標登録し、バラの香りの基礎化粧品の開発販売を開始、オリジナル商品はすべてローズメイのブランドに統一しました。
大仙市に工場を作ったのは2004年。以前から大仙市の養蜂家との取引があったこともあり、新鮮なうちに加工するため角館から車で南東に15分ほどの旧太田町に秋田工場を建設しました。バラ園も併設されています。現在、県内の従業員は太田に約20人。秋田市の店舗には5人を採用しました。太田はで毎年、地元の高校生を新卒で採用し、Aターンで帰って来た人の中途採用も行っているそうです!
この敷地内では香りがすばらしくバラの女王ともいわれるダマスクローズと食用のガリカローズを育て、水蒸気蒸留によってローズウォーターやバラの花びらのジャム作りをしています。
鑑賞用のバラは春と秋に咲くものが多いですが、ダマスクとガリカは原種に近いツル性のバラで、咲くのは6月の3週間だけ。その時期は季節雇用の約40人とともに収穫し、すぐにローズウォーターやジャムに加工しています。
原田さんは2013年に就任した3代目。秋田のことを秋田人以上に心に掛けてくださっています。
原田社長は秋田県の生産者や企業との関係を大切にし、秋田県産の素材も積極的に商品に取り入れています。横手市にある三代続く麹屋さんの麹を使った甘酒や秋田県産のりんごの果肉がごろっと入ったジャム、秋田で農薬を使わずに育てたガリカ薔薇ジャムなども製造しています。
また無農薬にこだわったブイヨンから作った冷凍スープや七穀米や有機栽培のゴマとはちみつの蜂蜜胡麻は、パンにつけたりお野菜の和え物にしたり温めた牛乳に混ぜたりといった楽しみ方ができます。また、地元角館の老舗、安藤醸造とのコラボ商品、蜂蜜七穀辛味噌と蜂蜜カレー味噌など多彩な商品を展開しています。安藤醸造のお店でも買えるそうです。
最近では、秋田の社会問題へも取り組み始めています!それが、高齢者の歩く力を維持するためのリハビリ施設「コンパスウォーク」の運営。山王のパン屋さんと背中合わせの敷地にも、別会社が運営するコンパスウォークがオープンするそうです。
なにごとにものんびりな秋田県は、生食パンブームで全国を席巻した大阪のパンやさんの出店も47都道府県でいちばん最後となるなど、まあ、そういう話には事欠かない土地柄です。でもそんな秋田からローズメイの食パンが全国へと販売されるようになる日が待ち遠しいです。
文:竹内カンナ