秋田・大館発のレスキュードローン!UAV事業も手掛ける 東光鉄工株式会社

 

秋田県大館市に本社を置く東光鉄工株式会社は、鉄骨や橋梁(きょうりょう)、クレーン、防災シェルターなど10種類以上の事業を手掛ける企業です。2015年にはUAV(無人飛行機)事業を立ち上げ、自社で国産ドローンを開発・研究しています。

今回はそんな東光鉄工の菅原訪順社長若手社員を取材しました!

TOKOドームは南極昭和基地で活躍!

幅広い分野で活躍する同社が現在掲げている中期五カ年計画の柱は、「TOKOドーム」と「ドローン(UAV事業)」の2つの製品を伸ばすこと。

TOKOドームとは、建設現場などの格納庫や倉庫として使われるドーム型の構造体のこと。自社工場で大型デッキプレートと呼ばれる凹凸状の金属板をアーチ状に曲げ加工して組み立てているため高強度。

3メートルの積雪・風速60メートルの強風にも耐えることから、県内外の建設現場南極昭和基地(雪上車格納庫)でも利用されています。同社では南極地域観測隊が毎年編成され、研究活動のための建物メンテナンス・インフラ整備などを行います。

南極に設置されている「TOKOドーム」

TOKOドームは工場でユニットを製作し、現場ではそれを組み立てるだけ。工期も短く、コンクリートによる基礎工事がなくとも建設可能です。また、ドームに使用する材料を曲げることができる(ベンディング)機械を設計・開発したのは日本で同社のみ。

TOKOドームは日本のみならず、南極昭和基地で採用されるなど、世界でも活躍しているのです。

秋田発のレスキュードローン

2015年からは農薬散布ドローンなどの開発・製造・販売を手掛けるUAV事業部が立ち上げられています。

最初は橋などの建設物を点検するためのドローンを開発していた同社ですが、風に弱く、GPS機能も万全ではなかったため、当初は開発のハードルが高かったと言います。そこで、現在東光グループの代表を務めている虻川東雄氏は秋田というフィールドを生かしたドローンを開発できないかを模索。結果的に開発されたのが、現在の重点製品でもある「農薬散布ドローン」です。

「農薬散布ドローン」同社が開発・製造したドローンの部品のほとんどが国産。秋田発のドローンが各地で活躍している

現在は農薬散布ドローン3種を製造・販売する他、レスキュードローンの開発に力を入れています。

「レスキュードローン」

秋田県の助成金を活用して始まったレスキュードローンの開発。このドローンは災害発生時に現場の状況をいちはやく確認し、救難者をサポートすることを目的としたもので、雨が降っても飛行可能な完全防水、風速15メートルにも耐えうるホバリング機能、暗闇でも見える超高感度・赤外線カメラ、サーチライト、スピーカーなどが搭載されています。また、従来のドローンよりパワーがあるため、救援物資を運ぶことも可能です。

レスキュードローンは2020年春以降から実用化される予定で、今後は県内外の防災関係セクションでの活用が期待されています。このように多機能なドローンは日本市場であまり広まっていないため、今後需要が高まることが予想されます。

東光鉄工の秋田発・レスキュードローンが日本各地で活躍する日はそう遠くありません。

「将来的には飛行時間を伸ばし搭載量を増加させられる『エンジン型のドローン』が主流となるのではないか」と菅原社長(現在はバッテリー型のドローンが主流)

2017年以来、廃校となった旧雪沢小学校(大館市)を東光鉄工UAV事業部の拠点とし、ドローンの製造・性能確認を行うほか、オペレーター技能認定や整備士認定教習なども実施しています。

 

若手社員の紹介

UAV事業部 R&Dグループ 三浦晃太さん(大館市出身)

2019年4月に入社した三浦晃太さんは、ドローンを開発・製造・販売するUAV事業部へ配属されました。

子供のころから電子工作が好きで、ドローンにも興味があった三浦さん。自分の好きなことを仕事にできないかと思い、地元秋田の企業を調べていたところ、東光鉄工を見つけました。現在は機体の試験や回路の製造を担当し、先輩からアドバイスを受けながらスキルアップを図っています。

ドローンは技術革新が著しいので、常に情報のアンテナを張りながら自社製品の開発に貢献できるようになりたい」と三浦さん。農薬散布ドローンなど、秋田の人に寄り添ったものづくりが出来ていることに誇りを感じていました。

入社3年目の阿部美名子さんは、IT 機器などに使用されるフィルムや粘着剤を高精度に型取るための金型をつくる精密事業部に所属しています。

同社に就職した理由は職場の雰囲気にあると言います。

精密事業部 阿部美名子さん(大館市出身)

阿部さんは学生の頃、県内の気になる6つの企業で職場体験をしています。その中でも東光鉄工は、見学しに来た際に阿部さんに対して気さくに話しかけてくれて、職場の雰囲気がよいと感じました。「接客などいろんなジャンルの職場体験をしましたが、東光鉄工が一番、優しい人が多いと感じました」と阿部さん。

周囲と気軽にコミュニケーションを取ることができるため、自分らしく仕事ができているとのことでした。

「親世代の方とのコミュニケーションがうまくできるか不安でしたが、入社してみると、みなさん声をかけてくれるので安心しました」(阿部さん)

募集している人材

現在同社が募集しているのは「UAV事業部(ドローンの開発・製造・販売など)」、「技能者」、「営業」です。秋田発のものづくりをしてみたいと思い、チャレンジ精神を持って仕事ができる人材を求めています。

東光鉄工は2018年で創業80周年を迎えました。

今後は社会の期待に応える100年企業を目指し、お客様だけでなく、秋田で就職を考えている学生からも選ばれる会社になりたい」と菅原社長。直近では、自社製品の販売網を広げるための販売サイトを作成しており、その中で社員一人ひとりが情報を発信できるようなブログコンテンツも準備中とのこと。

時代のニーズを先取りした技術開発や製品開発に挑戦する東光鉄工、今後の動きに注目です!

◆東光鉄工の公式ホームページ

◆秋田県就活情報サイト KocchAke!

取材・文:じゃんご https://dochaku.com/