秋田県、ICT人材育成に「ボット」作り実習

8月8日~10日に秋田市で、県主催の「めざせ!未来のICTスペシャリスト夏休み特別ゼミ」が開催されました!

ICTは、「Information and Communication Technology」の略。2020年から小学校の授業でプログラミング教育が必修化される流れもあり、ICTは今後さらに重要な役割を担っていくとみられています。

今回の特別ゼミの1日目は一般の人も参加できる日本マイクロソフト株式会社のエバンジェリスト・業務執行役員の西脇資哲さんCG映像制作ゼロニウムの伊藤茂之さんソフトウエア開発フォームズの小笠原貴史さんの3人による講演でした。(リンクをクリックすると講演の資料がご覧になれます)

講演の内容はICTにとどまらず、キャリアデザインや目標設定など多岐にわたりました

内容はICTにとどまらず、キャリアデザインや目標設定など多岐にわたり、主催した秋田県産業労働部デジタルイノベーション戦略室によると、約120名の方が参加したそうです。講演では高校生などから多くの質問が寄せられ、講演後も積極的に話しかけていました。

2~3日目は小学生から大学生までを対象にプログラミング実習講座が行われました

2~3日目のプログラミング実習は参加を申し込んだ小学生から大学生までを対象に、実際にパソコンを使いながらの実践講座が行われました。

秋田市だけでなく、県内各地から集まった学生たちは、計16名。小学5年生から大学3年生までと幅広い年齢層の参加者が、グループに分かれ、意見を交わしながら行われました。

今回は、IBMのAIシステムの「Watson(ワトソン)」を使い、各自が決めたテーマに沿って、質疑応答するチャットボットを作っていくものでした。身近なコミュニケーションツールとして使われている「LINE」のサービスの一つとして店舗や宅配などで使われている「LINE@」をイメージするとわかりやすいと思います。

IBMの「Watson(ワトソン)」を使い、各自が決めたテーマに沿って、質疑応答するチャットボットを作りました

学生たちはシステムの使い方を学んだあと、一人一人がテーマを決めて実際のプログラミングに挑戦しました。作成したチャットボットアプリには、秋田の観光をテーマに「秋田の●●」と入力すると、開催地や関連URLなどの情報を返答してくれるものや、食べ物についてのものなどさまざま。

一昔前だとシステムエンジニアというと男性が多いイメージでしたが、今回の参加者には女子生徒も3名いました。そのうちの一人、秋田市内から参加した大学3年生の工藤さんにお話を聞きました。

ゼミ進行役の合同会社G−experience(ジーエクスペリエンス)の松浦真さん(中央)

工藤さんがプログラミングに興味を持ったきっかけは、中学校の時に参加した高校の体験授業だったそうで、そのまま体験授業を受けた高校に進学、現在は大学でより専門な知識を学んでいるとのこと。今回、特別ゼミを受講することが出来てラッキーだったと話し、将来は、システムエンジニアのような専門職につきたいと話していました。

特別ゼミは1日目こそ、少し表情が硬かった学生たちも、2日目になると、住んでいるところ、将来のこと、使用しているパソコンのことなど、学生同士でも親交を深めている様子が伺えました。今回のゼミを通じてICTの活用に色々な可能性を見い出した様子の学生は、少子高齢化が進む秋田ならではの部分にもチャットボットが使えるのではないかとグループのメンター(相談役)に伝える場面も見られました。

小学生も参加していました!

学生たちは口々に「楽しかった」、「プログラミングの道に進んで秋田に貢献したい」と話し、今回の特別ゼミが新たな一歩へとつながった様子がうかがえました。

特別ゼミの進行を行なったのは、合同会社G−experience(ジーエクスペリエンス)の松浦真さん 。3年前に家族で大阪から秋田県五城目町に移住してきたそうです。移住前は、大阪で学生たちにICTの指導をしていたとのこと。

ジーエクスペリエンスの松浦真さん

今回の特別ゼミに参加した秋田の子どもたちについて、松浦さんは、「よく理解し、熱心に取り組んでくれてびっくりした」そうです。また、「ICTのような技術は都会よりもむしろ、秋田のような地方都市でこそ、役立つ機会が多いはず」とも話されていました。

今回が初めての開催だった学生向けのICT特別ゼミ。主催した秋田県産業労働部 産業政策課デジタルイノベーション戦略室室長 羽川 彦禄さんは、参加した学生たちについて、「やはり(興味分野の)吸収力・成長力が全然違う!難しかった、または物足りなかったなど感想はいろいろありましたが、今後の展望につなげたい」とし、その一つとして、プログラミング等のICTに関し世代を超えて知識経験を共有する仕組みである「地域ICTクラブ」の展開を挙げていました。

秋田県産業技術センター 主任研究員 佐々木大三さん

また、主催した秋田県を代表して秋田県産業技術センター 主任研究員 佐々木大三さんは、最後に「ここから未来のスペシャリスト、その仲間がきっと誕生すると思う!ぜひ、ここにいる人と2ショットを撮って宝物にしてほしい」と学生たちにエールを送っていました。

今回のような取り組みが、最先端の技術によって秋田を活性化する第一歩となり未来へとつながっていくことを期待しています!!

文・写真:工藤 愛