2019年3月に秋田県が発表した「少子化・子育て施策等に関する調査」で、独身者に結婚に対する意識を尋ねたところ、「今すぐ結婚したい」、「いずれは結婚したい」という回答が合わせて70.7%にのぼりました。また、「現在、独身でいる理由」については、「結婚したいと思う異性とめぐり会わない」が 53.1%と半分以上という結果でした。
出会いの機会が少ないと考える人を男女別にみると、男性は47.7%、女性は57.4%と女性の比率が高くなっています。
そのため県も、他県以上に結婚支援に力を入れています。一般社団法人あきた結婚支援センターってご存知でしょうか?県や市町村などが共同で設立し、県民の結婚を支援するため、お相手の紹介やオンラインによるセミナー、イベントなど出会いの機会の創出や相談事業を行っている組織です。
あきた結婚支援センター(以下 センター)が昨年初め、AI(人工知能)を使ったマッチングシステムを導入した結婚支援の取り組みにより「結婚・婚活応援アワード2020」の自治体部門で表彰されたとお聞きしたので、センターの冨岡伊穂子センター長に、このマッチングシステムについてお聞きしてみました。
Q:AIによるマッチングシステムについて教えてください
冨岡さん:センターが導入したAIマッチングシステムは、タメニーという会社が10年かけて改良に改良を重ねて完成させた「EQアセスメント」という価値観判断テストを反映させていることが特徴です。自分が持っている価値観とお相手に求める価値観を112問の質問に答えることによって導き出し、お相手に求める価値観に近い方を紹介します。
その質問は、出題者の意図が透けてみえるような単純なものではありません。例えば、「2つのうちどちらがより当てはまりますか」という質問に対し、「自分には人並み以上の知力がある」という選択肢Aと「一緒に楽しい時間を過ごすのが好きだ」という選択肢Bが用意されているという具合です。
また、「許せないと思う確率が高いものはどちらですか」という質問に対し、「仲間内のもめごとに積極的に関わろうとしない」という選択肢Aと「あなたの親戚や家族と接する際に良い関係を作ろうとしない」という選択肢Bが提示されます。こうした質問に直観的に答えていくと、その人の価値観があぶり出されてきます。
Q:このシステムによって、結婚支援センターの役割も変化したのではありませんか?
冨岡さん:AIシステムの導入と同時に、婚活のほとんどの部分がオンライン化されました。以前はセンターの会員になると県内3カ所のセンターにお見合いの日程の仲立ちをしてもらったうえで、センターに出掛けてお見合いをしなければなりませんでしたが、新しいシステムでは、手元にあるスマートフォンやパソコンで自宅に居ながらにして紹介されたお相手と二人だけでお見合いの日程や場所を打ち合わせることができます。
Q:交際はどのように進むのでしょうか?
冨岡さん:AIによって月に最大3人を紹介してもらうことができますし、自分で検索して月4人までお見合いの申し込みもできるので、「プレ交際」という形で複数の方と同時進行でお付き合いをすることができます。
そうした交際の中で、結婚観や家族観を培っていってほしいので、なるべく早めに婚活を始められることをおすすめしています。
Q:AIマッチングの導入によって何か変化はありましたか?
冨岡さん:AIマッチングに紹介された後、交際1カ月で結婚を決めたカップルもいます。男性は「AIによる紹介で、こんなに価値観が一緒の人に始めて出会いました」。女性は「何年婚活しても結果が出ず、諦めたくなったことも・・・。でもこの先どんなことがあっても二人で乗り越えていけると自信を持って言える人と巡り合え、すごく幸せです」と語っています。
Q:お相手を紹介する以外に結婚支援センターはどのようなことをされているのですか?
冨岡さん:オンラインによる婚活セミナーや婚活パーティなども行っています。2020年10月からウェブ会議システムの「Zoom」を使用し、センターの会員以外にも参加できる「オンラインあきた婚」を開催し、2021年3月末で計40回、延べ350人以上が参加、ほぼ毎回、カップルが成立しています。コロナ禍にあっても出会いの場の提供に一役買うことができました。
Q:こうした結婚支援センターは各県にあるのですか?
冨岡さん:多くの自治体が結婚支援センターを運営していますが、秋田県のように専門の支援センターを設置して、専任のコーディネーターを複数配置し、会員一人ひとりの婚活をきめ細かくサポートしているところは多くありません。
Q:結婚したいと思っている人たちに伝えたいことは?
冨岡さん:結婚が決まり、報告のために連れ立って結婚支援センターを訪れるカップルを拝見すると、男性も女性も人間として本当に成長したなぁと感じ入ることがあります。そういう成長の過程が婚活です。お見合いから交際、成婚までの月日を考えると、なるべく早く活動を開始してほしいと心から思います。
婚活に関する名言をご紹介します。「オンラインあきた婚」が講師にお招きしている熊本県のカリスマ婚活コーディネーター、荒木直美さんの言葉です。
〇 婚活は「ハートの筋トレ!」胸の痛みは「ハートの筋肉痛」
〇 自分に「出会いの場をたくさん供給」すること。同時に「自分磨きを怠らない」こと。これが結婚への近道です。
AIマッチングとオンラインによる婚活イベントによって広い県土の距離の壁が取り除かれ、出会いの機会が増えました。それによって、イベントに参加しやすくなり、場数を踏んで、参加者のコミュニケーション力が向上してきたのを感じるそうです。
「ハートの筋トレ」で鍛えた筋肉はきっと結婚だけでなく人生にも生かせそうな気がします。
なかなか素敵な人に出会えないと嘆いているそこのあなた!この春、AIマッチングに挑戦してみてはいかがですか?
◆ あきた結婚支援センターのパンフレット
編集:竹内カンナ