にかほ市にある金型や自動機械製造のダイワ工業をオンラインで取材させていただきました。ダイワ工業の主力製品は、にかほ市にある電子部品大手TDKの製造ラインに設置されているコンデンサーを製造する自動機械。設計から組み立てまでを一貫して行っています。もう一つの柱は、半導体の実装機(チップマウンター)。基板に電子部品を差し込んでいく機械で、これもTDKに納入していますが、社内で使うのではなくTDKが海外の顧客に販売しています。
「当社の技術がなければTDKのラインが動きません。TDKとともに歩んできた会社です」という加賀谷尚志社長の言葉に自信がにじんでいます。
TDKとの信頼関係
ダイワ工業は、TDKの主力製品である積層セラミックチップコンデンサーを製造する自動機械をTDKの秋田工場と北上工場に納入している唯一のメーカーで、同社売り上げの7割がTDK向け。TDKからの信頼も厚い。
積層セラミックチップコンデンサーとは、回路を印刷したサランラップのような薄いフィルムをたくさん重ね加圧して接着したもの。コンデンサーは、電気の流れを制御する部品で、最先端の電子機器、例えば自動運転化が進む車のセンサーや5G(第5世代移動通信システム)のスマホだけでなく、基地局にも大量に使われており、需要は右肩上がりで増えています。小さなスマホ1台につき800~1000個も搭載されています!
金型・自動機械・プラスチック成形の3部門
1969年の創立当初は、TDKの当時の主力製品だったラジオやチューナーに使われていたフェライトの金型製造の会社でした。現在は、金型部門、自動化機械部門、プラスチック成形部門の3部門があります。金型を作っているうちに、じゃあ、金型を使って成形をやろう。そのうち成形の機械も自分たちで作ろうか、というようにして自然に今の事業体制になりました。
同社は2022年度の新卒者を将来の幹部候補として大卒3名、主に現場のオペレーターとして高卒5名を募集しています。最初は管理部門に行く人も含め全員が現場を体験し、それから配属が決まります。
就職時には特に資格は必要ありません。工業高校卒であれば図面を読み込むようなことが最初からできるかもしれませんが、新入社員は毎年、普通科を卒業した人が大半で、現場でゼロから指導してくれます。
会社が求めている人材像をうかがうと、加賀谷社長は、「前向きに学んで自分を高めていきたいという姿勢のある人」とおっしゃっていました。
プロパーの技術者に経営を任せたい
社長は銀行出身ですが、後継者は現場で経験を積んできた人材から選びたいと強く願っています。従来はオーナー企業だったので、現場の技術者が経営にタッチすることもなかったのですが、ダイワ工業を率いるのはダイワ工業で育った人であるべきと考えています。
世界のトップレベルの製造業のパートナー会社であることに自信を持ち、その技術レベルについていける専門性を身に付けた上で、自分たちの会社は自分たちで経営し、会社の発展に寄与するという気概を持った人材になってほしいと思っています。
人事制度で社員のモチベーションが向上
社員のモチベーションを高めるために社長が行ったのは、それまでブラックボックスだった人事制度をガラス張りにしたこと。それぞれの役職の資格要件を明示し、この要件を満たしたら課長にするという職能資格制度を導入。給与も、課長ならここから、と明確にし、それを目標に頑張って、そこに達したら次を目指すというように一歩ずつ上がっていって、気がついたら社長に・・・となったらいいですね!
また、国家資格の取得も奨励しており、現在は試験で合格した場合、費用を会社で負担、次回からは不合格でも3回までは負担してくれることになっているそうです。会社が指定した勉強会や講習会の費用は全て会社で負担してくれます。
そして、国家資格の機械加工技能士などの2級を取得すれば月5000円、1級なら1万円が支給されます。
また、加賀谷社長は、何か問題が起きた時、中間管理職が叱責すると情報が上がってこなくなるので、そういう時は社長に報告するよう徹底しているそうです。顧客に謝らなければならない時もありますが、下手に叱責して問題が隠ぺいされてしまうことはあってはいけないという信念があります。会社の風通しをよくすることを非常に重視されているのを感じました。
女性比率は25%
約180人の社員のうち約25%の40数名が女性。加賀谷社長は、男女の比率はほとんど意識していません。とはいえ、検査や仕上げといったきめ細かい作業が要求されるところに女性が多く配置されていますし、力のいる金属加工などは男性に任せています。
残業は2020年度に全社平均で月8時間ですが、子育て中の社員は残業をしなくてすむように配慮しています。また希望すれば子どもが小学校に入るまで短時間勤務を選ぶこともできます。
外の空気を吸ってきたAターンへの期待
にかほ市や由利本荘市以外の人にも広く門戸を開いています。また県外からの既卒の人材も歓迎しています。
県外で社会人としてさまざまな経験をしてきた方の広い視野や感性に期待しています。地元で育ち、そのまま就職した人が多いので、外から来た人が持ち込む空気はとても刺激になります。
住宅手当が手厚い
家が遠い人には住宅補助を出していますが、これが非常に手厚くて、社員の負担はわずか2000~3000円だそうです。もちろん高級マンションというわけではありませんが、海にも山にも近く芭蕉も訪れた風光明媚な象潟もあるにかほ市に住んでみたいという人にお勧めです。
年間の休日は118日とかなり多めです。有給休暇は新入社員の場合、年間10日ですが、1時間単位で取得することができ、PTAに行きたいので2時間だけというような取り方ができるそうなのでけっこう使えそうです。社員が皆、同じ時期に有休を申請するのを避けるため計画的付与制度になっていて、会社が割り振る有休が5日、自由に取れるのが5日。余れば、翌年以降に積み立てていくことができます。直近の有休取得率は67%でした。
中川美優さん、お姉さんの勧めで製品検査の仕事を志望
若手の代表として中川美優さんにお話をお聞きしました。
中川さんは入社2年目で、最終工程の製品の検査を行っています。にかほ市の隣の由利本荘市の実家から通っています。とても仲のよいご家族のようで実家から離れたくなかったので就職は家から通えるところという条件で探したそうです。通勤は車で20分ほど。
高校は総合学科で調理や保育などを重点的に学ぶ教養文化系を選択しました。ただ、お兄さんとお姉さんが製造業に就職し、楽しそうだなと思っていたので、就職先には製造業を考えていました。
姉がやっている仕事が検査の仕事で、やっていて楽しいと言っていたので自分もやりたいと思いました
中川さんは、検査が必要な製品が届くと、納期を確認し、納期の早いものから検査していきます。時には大量の製品を比較的短期間に検査しなければいけないこともありますが、残業が必要なことはほとんどなく、期限までに手際よく検査が終わると達成感を感じると話していました。
1日の流れと休日の過ごし方
朝は午前8時半が始業。会社によっては始業より30分ぐらい前に出社するのが当然だったりするのですが、中川さんは5分前ぐらい。家から制服を来て行くので、着替えの時間もいりません。昼の休憩は12時から12時50分。終業は午後5時半。
ダイワ工業は部署によっては3交代制になっていて、夜10時~午前7時、午前6時~午後3時というシフトもあります。
中川さんに、休日をどのように過ごしているかお聞きしたところ、友達と出掛けたり、ボーイフレンドとドライブに行ったりしているということでした。行先は秋田市や男鹿半島が多いとか。
将来の夢は?とお聞きしたら、「どんどん昇格して偉くなりたいです!」という頼もしいお答え。社内から経営幹部を出したいという加賀谷社長の思いが社員にも伝わっているのを感じました。
社内には、女性の先輩がたくさんの働いていて、年齢の違いを気にせず気軽に話せる雰囲気があるそうです。そうした人たちが活き活きと働いているのをみて、中川さんも早く人から頼られる存在になりたいと思っているそうです。
最後に、中川さんから就活中の学生さんにメッセージをいただきました。
仕事というのは大変だろうと思っていましたが、頑張った分、お給料がもらえて、趣味などにもお金を使えるので、学校よりも楽しいです!
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実家に住んでお給料の大半を自分で使える生活は絶対に楽で楽しい。ダイワ工業は住宅補助が手厚いので、もし近くに実家がなくても可処分所得はけっこういいんじゃないかなと思います。
◆秋田県の就職情報サイト KocchAke!
◆ダイワ工業ホームページ