Facebookで秋田のユーモア話術コンサルタント、人星亭喜楽駄朗(米谷裕夫)さんと並んで写っていた金髪の若い外国人、秋田弁に熱中して秋田弁の本をまとめたと聞き、これはもうすぐにでも会わなければと思い、喜楽駄朗さんに紹介していただきました。
ニコラ・ブレンダン君というオレゴン州出身の米国人です。オレゴンは、アメリカ西海岸の北から2番目の州で、なんとなく秋田県と似たようなところのようです。
秋田弁を話せるというだけでなく、何冊も文献を読み、文法や音の特徴をまとめるなど、言語学的な観点から秋田弁に興味を持っている珍しいガイジンです。
東京でお会いした時、英会話の先生をしているため秋田弁どころか日本語を話す機会もないと嘆いていたので、是非、秋田に住んでもらいたいと思い、東京のふるさと回帰支援センターの移住相談員の進藤さんと阿部さんにお願いし、とうとう彼を秋田に引っ張りこみました!今、秋田市に住み、由利工業で働いています。
しかし、就職してまず由利本荘市の本社で働きはじめたのが今年1月、それから3カ月で秋田市に転勤。時はまさに新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言が出るか出ないかという頃。秋田でも感染者がぽつん、ぽつんと確認され、不要不急の外出は避けましょうと厳しく言われていた頃。ニコラ君、ほとんど知り合いのいない秋田市できっとさびしい思いをしていると思います。ようやく非常事態宣言も解除されましたので秋田在住のみなさま、どうぞ彼をよろしくお願いします。
ニコラ君が最初に秋田に来たのは4年前。国際教養大学のサマーコースに参加するためでした。そこでは当然標準語を学んでいたのですが、ある日、山を下りて秋田市内に出て、話されている言葉が自分の習っている日本語と全然違うことに気付き、衝撃を受け、秋田弁の魅力に取りつかれてしまったのです。
最初は、秋田市在住の漫画家、こばやしたけし先生が制作した秋田弁の単語帳や教科書を買い、さらには専門書まで手に入れて秋田弁を勉強し始めました。
まだ日本語も学び始めたばかりだったのに、いろんな秋田弁を集めて、その基本になっているルールを見つけようとしたのです。大学ではエネルギー工学とか太陽光発電などを勉強していたというのに、秋田弁にここまで深く取り組んでくれるなんて嬉しいじゃありませんか。
今ではしっかりとした日本語と秋田弁を話し、メールも秋田弁で書いてくれます。その言語能力の高さは驚きです。
そして彼がまとめた秋田弁の教科書がこれ。
お友達がかわいいナマハゲのイラストを描いて表紙を作ってくれたそうです。
英語の意味と標準語の意味を並べているので、3か国語辞典のようになっています。
最近は、日本に興味のある外国人向けのサイト「Taiken Japan」に秋田弁について寄稿しています。外国人目線で、音のおもしろさに焦点を当てた内容で、秋田人としては普通の秋田弁の表現が、外国人には面白く聞こえるんだなあと新鮮に感じました。
そして第2回目の投稿は「千秋公園」でした。秋田出身者にとってはただの公園ですが、「あ、そういうところに興味を引かれるんだ」と思い、久しぶりに行ってみようかと思いました。
どうぞ秋田に来たばかりの新しい仲間にどんどん秋田弁で話かけて一緒に秋田を楽しくしてください。外国人目線に触れると見慣れた秋田が違って見えてくると思います。
ニコラ君の許可を得て、公開してもいいメールアドレスを教えていただきましたので、連絡してみたい方はどうぞ!スパムメール防止のためQRコード化しています。
取材・文:竹内カンナ